テクニカルノート

ホタル!エコな光と多様性の危機

文:佐竹 一秀 2009年7月1日

ゲンジとヘイケ
ホタルの発光

ホタルの発光

初夏の風物詩、ホタルがみられる季節となりました。
代表格のゲンジボタルは、仙台では6月下旬頃から見ることができます。ゲンジボタルの名前の由来は、平家打倒の夢破れ、無念の最後を遂げた源頼政の亡霊がホタルとなって戦うと言う伝説があり、これから「源氏蛍」の名前がついたという説と、腹部が発光する(光る)ことを、「源氏物語」の主役「光源氏」にかけたことの説があります。一方でそれよりも小型で光り方も弱いホタルが、源氏に対しての平家から、ヘイケボタルとよばれる種です。この2種は同じところで発生し同時に飛び回ることもありますが、ゲンジは流れのやや速い清流に、ヘイケは水田や用水路の流れのあまりない場所に生息しています。

きれいな水環境を指標しているようにいわれていますが、多少汚れている場所でもヘイケボタルは生息しています。また、水辺に依存しているように思われがちなホタルですが、多くの種は樹林地にいます。日本には約40種のホタルがいますが、熱帯地域が主な生息域なので、本土より南西諸島に多くいます。またゲンジやヘイケのように水中で幼虫期過ごす種は少数派です。

夜間の照明はホタルにとって害になる

ホタルはその明滅により雄と雌がコミュニケーションをとっていて、一種のラブコールと考えられています。そのため、自動車のライトや街灯等の外部から強い光があると、ホタルの光が確認しづらくなり、繁殖に影響します。「光害」です。須藤先生がよく言っておられるようにコンビニの夜間営業を中止すれば、ホタル類によい影響をあたえると思います(コンビニのそばにホタルの生息地があればですが…)。皆さんもホタルを見に行くことがあったなら、また、ホタルの生息地近くに住んでいる人がいたなら、不必要な光は消しましょう!(そうでなくとも余分な光は出さないようにしましょう)

蛍の光

ホタルの発光物質はルシフェリンと呼ばれ、ルシフェラーゼという酵素とATPがはたらくことで発光します。ホタルに限らず、生物の発光は電気による光源と比較すると効率が非常に高く、熱をほとんど出さないことが知られています。とてもエコな発光装置です。

ゲンジボタルには東日本型と西日本型があり光り方が違います。西日本では2秒間隔でせわしなく、東日本型は4秒間隔とゆっくりと光ります(関西人と東北人の行動とも似ているような…)。都会の真ん中でホタル祭りと称して、養殖(人工増殖)したホタルを放し観賞する会が行われているとの話も良く聞きます。ホタルの人工増殖技術はほぼ確立されており、比較的簡単に育てられるようです。そのため、あっちこっちにホタルを放して、あるいはビオトープを作って移植する事が多く行われています。

国内の「外来種」
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飛び交うホタル

しかし、考えて下さい、そして気を付けて下さい。上記の東日本型、西日本型があるように、移植を考える場所のそばで捕獲したものを人工増殖で増やしたのであればまだ良いのですが、業者を通して購入した場合はどこのものかが良くわかりません。第三次生物多様性国家戦略のなかの、生物多様性の第3番目の危機「人間により持つ込まれたものによる危機」で指摘されているように、国内の他の地域から導入された外来種が、地域固有の生物や生態系に大きな脅威を与えています。ホタルの安易な移植も考えものです。仙台市近郊のホタルは大丈夫??

エコな話から生物多少性の危機まで考えさせられるホタルですが、これから先も心地よく優しい光を放ち続けて欲しいものです。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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