テクニカルノート

今年はCOP10!

文:佐竹 一秀 2010年1月20日

たくさんのCOP

昨年末はCOP15でしたが、今年はCOP10です。
COP15は昨年末にコペンハーゲンで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議の略称です。今年の10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議が開かれます。これが標題のCOP10です。
COPとは締約国会議(Conference of Parties)の略なので、色々な会議に使われます。他にもラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)の締約国会議等があり、昨年韓国で行われた会議がCOP10でした。このようにあっちもこっちもCOP、COP、コップだらけ(そんなに酒が飲みたい?)で紛らわしい。気候変動はClimate Changeというらしいので、あたまにCCを付けてCC-COPとしてはどうでしょうか。ちなみに生物多様性はBiological DiversityなのでBD-COP、ラムサール条約は水鳥の生息地Waterfowl HabitatでWH-COP。

「生物多様性」をご存知ですか?
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生物多様性を考える新しい年に

本題に戻って名古屋で行われるCOP10:生物多様性条約…についてです。皆さんは「生物多様性」という言葉を知っていますか?最近良く耳に、目にするようになったと思いますが、H16に環境省が調べたデータでは、「生物多様性」という言葉を知っている:10%、聞いたことがある:20%、知らない:70%で、世の中には認知されていませんでした。そこから6年経過しているので多少認知度は上がっているとは思いますが…。

「生物多様性」がもたらす様々な恵み

それでは生物多様性って何でしょうか?
なぜ生物多様性が大切と言われているのでしょうか?
また何が問題になっているのでしょうか?

私たちは自然から多様な恵みを受けています。あなたは空気を作れますか?化学反応で多少の酸素は作り出せるでしょうが、地球上の酸素は長い年月をかけて多種多様な植物がつくり出したものです。また水循環のシステムや土壌も生物の力、自然の恵みがなければできません。その上に今の私たちの生活が成り立っています。私たちの生活もそのほとんどを自然に頼っています。人間が生きていくための食物は野生生物の品種改良や野生生物を直接利用することでまかなっていますし、私の大好きなお酒も微生物の力によるものです。また新型インフルエンザのワクチンしかりですが、さまざまな医薬品も生物の働きを利用して開発されています。森林や河川、湖沼は安全な飲み水の確保や災害の軽減、土壌の流出防止など安心、安全な居住環境の確保につながっています。地域色の豊かな伝統文化についても、日本固有の多様な自然や動植物に由来するものが多くあります。

スポーツのなかの「生物多様性」!?
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イヌワシ

また生物とは関係ないと思われているスポーツですら関係があります(多少強引かつこじつけですが…)。
例として仙台のプロスポーツを見てみます。まず野球の楽天ですが、正式名称は東北楽天ゴールデンイーグルスです。ゴールデンイーグルはずばりイヌワシです。他にもタイガース(トラ)、スワローズ(ツバメ)、ドラゴンズ(竜は…)。サッカーのベガルタ仙台はエンブレムに鷲が描かれています。ベガルタの名前の由来は、杜の都仙台の夏の風物詩である「七夕まつり」の、天の川を挟んで光り輝く織り姫(ベガ)と彦星(アルタイル)の合体名です。この彦星(アルタイル)がわし座に属していることから、エンブレムに鷲が採用されたとの事です。ちなみに昨年のJリーグの覇者、鹿島アントラーズのアントラーは鹿の枝角、天皇杯連覇のガンバ大阪はエンブレムに大阪府の鳥である百舌(モズ)がデザインされています。バスケットボールの仙台エイティーナイナーズについては、キャラクターはティナという名の子供のライオン(男の子)です。

話がまた脱線してしまいましたが、きれいな風景を見た時、爽やかな風を感じた時、自然のなかに身を置いた時の心地良さは格別です。このような精神面での恩恵も多々あります。これらの恩恵を受けとるためには、多種多様な生物種が必要であり、多様な環境が残されている事も重要です。また、私たちの知らない生物の能力もまだまだたくさんあるはずですし、今後もあっと驚く発見もあると思います。

失われていく生物種

現在、1日に約100種、1年間になんと約4万種の生物がこの地球上から姿を消しているといわれています。恐竜時代には1年間に0.001種、1万年前には0.01種、1000年前には0.1種、100年前からは1年間に1種の割合ですから物凄いスピードで絶滅しています。このままでは25~30年後には地球上の全生物の4分の1が失われてしまう計算になるようです。そのため、それらに支えられていた生物多様性からの恩恵が、急速に失われていることが問題ですし、今後発見されるはずの新たな恩恵も種の絶滅と共に消えてしまうのです。

4つの原因

生物多様性を脅かしている原因は大きく4つあります。
第一の危機は開発や乱獲など人間活動により、種の減少や絶滅、生息生育地の減少。第二は人間活動の縮小(里地里山の手入れ不足等)による自然の質の低下。第三の危機はブラックバスやアライグマ等の外来種や環境ホルモン等の化学物質の持ち込みによる生態系の攪乱。そして最後に地球温暖化による種の絶滅や生態系の崩壊が考えられています。

それでは私たちに何ができるの?と問われても、なにも出来ないかも知れません。ただこの状況の理解と危機感を共有していくことが、これからの先の生物多様性の保全には重要な事だと考えています。 COP10のパンフレットが手元にあります。それに開催の意義が書かれてありますので、以下に記載して会議の成功を祈ります。

<<COP10開催の意義>>
COP10の開催される2010年(今年)は国連の定めた「国際生物多様性年」であり、生物多様性条約の「2010年目標※」の達成年にあたります。
※2010年目標:2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという目標(2002年のCOP6で採択)。
COP10では目標の達成状況の評価とその後の目標が議論され、生物多様性条約にとって大変重要な会議となります。
日本は、食糧の6割、木材の8割を輸入に依存するなど、私たちの暮らしの多くは世界の生物多様性の恩恵を受けています。議長国である日本の責任は重く、世界からも、日本のリーダーシップに大きな期待が寄せられています。
日本におけるこれからの生物多様性の保全
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フクジュソウ

最後に、生物多様性条約の2010年目標については全く知りませんでした。皆さんは知っていましたか?
また、2002年に採択されていたようですが、この間に日本は何か対策を行っていたのでしょうか?生物多様性に対する日本の姿勢が見えたような…。COP10を開催することで、今後の取り組みに多いに期待します。

最後の最後に、皆さんと生物多様性の今後に福が訪れること期待して、福寿草の写真を載せます。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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