テクニカルノート

向日葵(ひまわり)は肩こり?

文:佐竹 一秀 2010年8月1日

暑さが似合う花
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ひまわりの花畑

今年の夏は全国的に暑いです。暑過ぎです。夏は涼しいといわれている仙台でも暑いを通り越して熱いです。まさに猛暑、酷暑です。
最高気温が35℃を超えた日を猛暑日というようですが、私は酷暑のほうが感覚的にあっていると思っています。それとも、最高気温が40℃を超えた日の言葉としてとってあるのでしょうか。地震や大雨を参考にすると烈暑、激暑…こんなことを考えていると、なおさら暑いです。

この暑さにピッタリの花が向日葵(ひまわり)です。日回りと書かれることもあり、肩こりの人が首を回すように、花が太陽の方向を追跡して回ることから付いた名前です。では、本当に朝は東に向き、昼は真上、夕方には西を向くのでしょうか? 近くにひまわりがあり、そして暇がある人は観察してみてください。

ひまわりは太陽を追いかける?

多分ほとんど動かないと思います。嘘つき!と言いたいところですが、実は花を咲かせる前、先端部は太陽を追いかけます。ひまわりの葉は太陽光を受けると成長促進ホルモンのオーキシンを作ります。オーキシンは葉の付け根方向に送られ、付け根が接している茎の部分の成長が進みます。その結果として葉が太陽光をより多く受けられるような方向に茎が曲がります。これがひまわりの先端部が太陽を追いかける(太陽の方を向く)仕組みです。

朝は東を向いていて、夕方に西向きますが、翌朝にはまた東を向いています。夜の間に西から東方向に向き直ることになりますが、向き直るのは日没直ぐ? それとも一夜をかけてゆっくり? それとも朝日を受けて直ぐに東に向く? 答えは、一夜をかけて東向きになるとの事です。確かに昼間に東から西にゆっくり回ったのですから、急に回ることは難しそうですね。むち打ち症になってしまいます。

次にひまわりに意地悪をして真昼の真上を向いたときに、東西方向を逆にしたらどうなるでしょうか? さっきのオーキシンの話があるので、別に気にせず太陽を追いかけて西方向を向きそうですが、実は東方向に向いてしまいます。このまま数日置いておくと、徐々に戻ってまた太陽を追うようになります。これは一種の癖? 慣れ? として説明されています。

最終的に東を向く
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別々な方向を向いて咲くひまわり

それでは花はどちらの方向を向いて咲いているでしょうか? 冒頭のひまわり畑の写真をみてもわかる通り、みんな同じ方向を向いて咲いています。この場合、多くは東向きに咲いています。(ただこのように決まった方向に花をつけるのは、広い場所にはえていて、1本に1個の花をつけるひまわりの場合です。右のような複数の花をつけるひまわりはバラバラの方向を向きますし、建物等の近くに植えられたものは、植物が明るい方向を向くことから、外向きに花をつけます)

若いうちは太陽を追いかけると書きましたが、花を咲かせる頃には先端部の葉の成長がとまり、オーキシンが生成されなくなります。また、つぼみも重さも増すため、動きにくくなってしまいます。この時期の先端部の動きは、朝は東に向き、時間と共に西へ向くのですが、徐々に西側への傾きが少なくなっていき、最終的には東向きで止まり、花を咲かせます。

生き残るための性質

ではなぜ東向きでしょうか。別に西でも中間の真上でもいいように思います。このことは、植物に都合のよい性質を持ったもの、その環境に適合したものが生き残るということで説明されています。真上を向いていると直射日光をあびて、横向きよりも温度が3~8℃も高くなり、また雨を直接受けて湿度が増加し、受粉や結実がしにくいと考えられています。また、東側を向いていると朝日が早くあたり、夜露が早く乾燥し病原菌の蔓延を防ぐことなどが考えられています。ただ、このことはひまわりの場合であり、他の植物では別のさまざまな要因が考えられます。これも生物多様性の一つです。でないと全ての花が東向きに咲くことになります。さくらの花が東側半分だけに花を咲かせたら嫌ですね。

人間もひまわりのように、若い時は大きな目標を追いかけ動き回り、知識や経験を積み、最後はしっかりと一方向を見据えて存在感のある大きな花を咲かせるように出来ているのでしょうか。私はまだまだです。肩はこりませんが、時々首が回らなくなります…。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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