テクニカルノート

ヒマワリ作戦!!

文:佐竹 一秀 2011年6月1日

ヒマワリと放射性物質
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ヒマワリ

夏には早いですがヒマワリの話題です。ヒマワリ作戦というプロジェクトが動いています。福島原発の放射能汚染地域にヒマワリを植えて放射性物質を除こうという計画です。今回の福島第一原発の事故では、環境中に多量の放射性物質が放出されてしまいました。よく耳にする放射性物質はヨウ素131とセシウム137です。また、半減期という言葉もよく聞きました。半減期は放射性物質が放射線を出す能力が元の半分になるまでの期間で、ヨウ素131は8.02日と短いのですが、セシウム137は30.1年もの時間を要します。原発からの放射性物質の放出が停止すれば、ヨウ素は比較的早い時間で影響がなくなりますが、セシウムの影響は長期間にわたって続きます。今回の作戦はこのセシウムをヒマワリに吸収させ、影響を低減化しようというものです。

栄養素のカリウムと間違えて吸収

植物は根からカリウム等の栄養素を吸収します。またセシウムも間違って?吸収されてしまいます。なぜ間違う?のでしょうか。化学の時間に習った元素の周期律表を思い出して下さい。カリウムは1番左端(第1族元素)の上から3番目です。同じ列の2つ下にセシウムがあります。同じ列の物質は性質が似ていますので、そのためカリウムと間違われてセシウムも吸収されてしまうのです。ヒマワリによるセシウム吸収能力はチェルノブイリ原発事故後に行われた実験で実証されており、1回の水耕栽培で池中のセシウムの95%が除去されたという報告もあります。植物体によるセシウムの吸収は、カリウムや窒素の少ない貧栄養土壌でより高くなり、ヒマワリは貧栄養土壌でも育つことから、ヒマワリが適しています。また、植物体も大きくなるので、吸収量も多くなります。

吸収後の処理が重要

ヒマワリを放射性物質に汚染された土地で栽培すると、根から放射性セシウムが取り込まれます。セシウムはヒマワリに取り込まれても、分解されることはありませんので、作業する際の被爆量の管理や低減化にも配慮する必要があります。特にセシウムの吸収能力に優れたものであれば、なおさら高濃度に汚染されたヒマワリとなります。収穫したヒマワリの処理方法については高温好気堆肥化処理が提案されており、1/100程度に減量化できるようです。その後放射性廃棄物として適切な処理・処分することになります。ただ、現時点ではヒマワリに吸収させた放射性物質の取り扱いに関連した法律はありませんし、ヒマワリの安全な収集方法や、処理のための施設の準備等、様々な問題をクリアする必要があります。

本来は研究後にすべきことだが…

現在、セシウムの吸収力の研究や効果的な栽培方法等、いろいろな研究が同時並行して進められています。本来であれば、これらの研究結果を待ち、その後の処理システムが完成した時点で、事業として実行されると思いますが、放射能汚染は待ってくれません。早く処理を始めないと、放射性物質が土壌から地下水に溶出してしまい、汚染が拡大してしまいます。栽培方法やその後の処理システムが整っていない現状ですが、とにかく行動し、その後様々なデータが出てきた所で、方法を修正・改善を加えながら進めようとしているようです。興味のある方は以下を参照してください
http://surc.isas.jaxa.jp/space_agriculture/Sunflower/Himawari_Outline.pdf
(※現在は存在しないPDFです)

バイオレメディエーション

このように植物を使って有害物質等を除去する方法は、ファイトリミディエーション(植物による浄化)、動物も含めて生物による浄化をバイオレメディエーションと呼ばれます。放射能汚染以外にも重金属や油汚染、有機塩素系物質等、今回の震災のように広範囲でかつ様々な有害物質による汚染に対して有効な方法となります。E-TECの得意とする分野でもありますので、今回の震災関連でも何か提案できればよいと思います。

ツバメたちその後

最後に前回お話ししました南仙台駅のツバメの写真を載せます。駅舎に併設されているコンビニの入り口の上に巣が作られていますので、糞よけの傘がつるされています(左写真)。その拡大が右の写真です。夜に撮影しましたので雄は傘の柄を縛っている針金の上に、雌は巣に入っています(尾羽の一部が映っています)。まもなく雛が孵ると思います。

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    糞よけの傘

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    夜を過ごす雌と雄

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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