テクニカルノート

土筆(つくし)

文:佐竹 一秀 2012年5月1日

歩くことで感じる春

昨年の初夏に事務所を移転しました。移転してからは徒歩通勤です。その前までは駅までは徒歩、そこから電車に乗って仙台へ出勤していました。今は徒歩15分で会社に着きます。徒歩通勤になってからは、楽にもなったのですが、感覚が以前とチョッと違います。自然豊かなところを通るわけではないのですが、季節を肌で感じることができます。今年の春が徒歩になってから、始めての春です。去年の春は周りの自然を見る余裕もなかったのでしょうか、とても新鮮に感じます。

事務所に向かって行くと踏み切りがあり、そこを渡ったところがチョットだけですが良い感じです。水路があり、水がゆっくりと流れています。その脇に土筆(つくし)が顔を出していました。また、タンポポの黄色、白や青、紫色の小さな花も咲いていました。ついデジカメを取り出して写真を撮りました。全部の花の名前がわからないので、事務所に行き、植物担当に写真を見せ聞き取りました(自然環境系の調査会社でよかった、と思えた瞬間です)。

つくしとスギナ

まずはタイトルの土筆(つくし)です。道ばたにたくさんぴょこぴょこと顔を出していました。つくしの正式な種名はスギナです。シダ植物ですので胞子で増えます。その胞子を作り飛ばす役目を持っているのがつくしです。スギナは少し遅れて生えてくる、緑色で細長く、枝分かれしている植物です。つくしの近くにスギナも顔を出し始めていました。この時期が名前の通りスギ(杉)によく似た姿をしています。その後、伸び放題で緑色のマットが敷きつめられた、状況にもなります。草むしりしたことのある人には、抜きごたえがあり、ボリュームもあるため、仕事をした!という気にはさせてくれますが、なかなか厄介な草です。

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    土筆(つくし)

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    スギナ(芽出し)

次は小さな花を付けていた植物の写真を撮影してみました。種名は以下に書いている通りです。ニュースレターは白黒ですので、色までは見えないと思います。そこで私の解説と皆様のイマジネーションで色を想像してみて下さい。

黄色い花、タンポポ

まずはタンポポです。これは私が話をするまでもなく黄色ですね。在来のニホンタンポポが少なくなり、外来(帰化種)のセイヨウタンポポが増えている、という話を良く聞きます。写真の種はどっちでしょうか?見分け方は花の下部にある総苞片(そうほうへん:下の写真の矢印部分)と呼ばれる部分が反り返っている方が、セイヨウタンポポです。ですので、写真の種は残念ながらセイヨウタンポポという事になります。

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    このタンポポの種類は…?

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    セイヨウタンポポ

ニホンタンポポは春に花をつけ、虫などにより他の株の花粉を運んでもらい、受粉し種をつくります。一方、セイヨウタンポポは、条件が良ければ一年中花を付けることができ、さらに単為生殖といって受粉に関係なく種子を作ることができます。また、ニホンタンポポとセイヨウタンポポの雑種も確認されているようで、遺伝子レベルでの問題も出てきています。環境省の要注意外来生物リストに掲載されており、今後とも気を付けて見ていく必要があります。せっかく春の日だまりのような、暖かな気持ちになれるようにと思って書き始めたのですが、外来種問題になってしまいました…。なお、ニホンタンポポと書きましたが、50以上の種が確認されていますので、在来のタンポポ属と書くのが正しい記載と思います。同じようにセイヨウタンポポも同種の他、アカミタンポポが有名ですが、それ以外の種も含まれている可能性もあります。

青い花、オオイヌノフグリ
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オオイヌノフグリ

次は青い小さな花です。写真は接写されて大きく写っていますが、コバルトブルーの小さな花がいっぱいに付き、とてもきれいです。ただ、失礼な名前を付けられた花です。名前はオオイヌノフグリです。種子が犬の陰嚢(睾丸)に似ている事から、イヌノフグリとありがたくない名前を付けられた在来種があり、それに似てより大きな花をつけるということから、オオイヌノフグリという名が付けられました。種子の形はそれには似ていないので、とても失礼な話です。ただ、こいつも外来(帰化)種です。そして、イヌノフグリの生育環境に入り込み圧迫しています。それにプラスされて、里地の開発等の影響もあり、イヌノフグリのほうは絶滅危惧Ⅱ類になってしまっています。

ピンクや白の花

もう少し咲いていたので、以下、写真と簡単なコメントにします。

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ヒメオドリコソウ

◆ヒメオドリコソウ

頭頂部の葉っぱが薄い紫色をしていて、花の間からピンクの小さな花が咲いています。これもかなりの個体が集まって生えていますので、紫色の絨毯のように見える場所もあります。

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ヤハズエンドウ

◆ヤハズエンドウ

紫色からピンク色の花を付ける、マメ科の植物です。カラスノエンドウという別名でも知られています。名前の通りエンドウマメに似ていて、巻き毛があり近くの物に絡みついたりもしますし、若い豆果は食用になるとの事です。が、私は食べたことはありません。

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タネツケバナ

◆タネツケバナ

10~30cmの高さで、頭頂部に白い小さな花が付いています。漢字では種漬(浸)け花と書き、稲の苗を育てる前に、種籾(たねもみ)を水につける作業があり、その時期に花をつけることから、名がついたとの事です。また、春の七草のなずな(ペンペン草)と間違われ、七草粥に入れられる事もあるようです。が、食べられる植物ですので問題ありません。

その他、ナズナ、ノボロギク、スズメノカタビラ等の植物も花を咲かせていました。近くの野原で春を探してみるのも、案外楽しいかもしれませんよ(年度末、年度始めのドタバタで、疲れていませんか。暖かくなってきましたので、野外に出て息抜きしてはどうですか。自分自身にも語りかけています…)。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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