テクニカルノート

話題?のオスプレイ

文:佐竹 一秀 2012年9月1日

魚を食べるオスプレイ
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ミサゴ(英名:オスプレイ)

竹島、尖閣問題で少しトーンダウンしたオスプレイです。アメリカ側からは操縦士の操作ミスで墜落したと結論づけられ、まだまだ安全性に納得が得られていません。今回はこの「オスプレイ」の話題ではありません。右の写真がオスプレイです。英名ではオスプレイ、和名ではミサゴと呼ばれるワシタカの仲間のことです。

空中に留まるホバリング

オスプレイのプロペラは、飛び立つときはヘリコプターのように上向きに回転し、垂直に飛び上がります。その後はプロペラを地面と平行にすることで、飛行機のように前向きになります。そのため、離着陸時に長い滑走路が不要となり、またヘリコプターに比べて速度も速く、長距離を飛べるという特徴をもっています。

一方、もともとの「オスプレイ」であるミサゴは魚食性の鳥で、湖や川、海岸周辺で餌をとります。狩りをするときには翼を羽ばたかせながら空中にとどまります。その後、獲物を見定めて一気に水中に突っこみ、魚を捕らえます。この羽ばたきながら空中にとどまる飛び方を、「ホバリング」と呼びます。他のワシタカ類にも同じように空中に停空飛翔する種がありますし、カワセミがホバリングして水中に飛びこむ映像もよく見られますので、記憶に残っている人も多いと思います。このホバリングが、新型飛行機の性能に似ていることから、オスプレイという呼び名になったのだと思います。

もうひとつの停空飛翔、ハンギング

また、ホバリングに似た飛び方で、翼を羽ばたかせないで空中に留まる飛び方(止まり方?停空飛翔)があります。こちらは「ハンギング」と呼ばれ、風の強い時に猛禽類などでみられます。強風の尾根上で空中に浮いているイヌワシをみると、このワシのために風が吹いているのでは、とさえ思えてしまいます。

学名は世界共通

オスプレイは英名、ミサゴは和名と言いましたが、各国で呼び方が違っていてはいろいろと不便です。その地域だけで生活している人には問題ないでしょうが、世界を飛び回っている人や研究者ではそうはいきません。そこで世界共通の名前が必要になります。しばらく前のニュースレターにも書きましたが、リンネ(スウェーデンの生物学者)により提案された学名がそれです。

名前の付け方は、2名法といい属名と種小名の二つで種を表し、そのあとに命名者を記す方法です。属名は分類ランク上の属の名前を利用し、名詞が用いられて、種小名は形容詞が用いられています。ヨーロッパの共通の学術用語であるラテン語で表記されています。生物の一つの種である人間についても、当然ですが学名がありHom sapiens Linneと書かれます。Homo(ホモ)はラテン語の人間を表す属名で、種小名のサピエンスは「賢い」という形容詞、最後のLinneはこの学名をつけたのがリンネとなります。賢い人属を人間と言うようですが…(世の中を見てみると、決して賢くないと思えるのですが)

種名からさかのぼって分類体系から人間をみてみます。分類体系では以下のように示されます。界-門-綱-目-科-属-種 となっていますので、
●動物界-脊椎動物門-哺乳綱-霊長目-ヒト科-ヒト属-ヒト となります。

ヒトに近いニホンザルは
●動物界-脊椎動物門-哺乳綱-霊長目-オナガザル科-マカク属-ニホンザル
(マカク属のマカクは、サルの意を表すアフリカの言語に由来)

ついでにキツネは
●動物界-脊椎動物門-哺乳綱-食肉目(ネコ目)-イヌ科-キツネ属-キツネ となります。
ネコ目イヌ科!!ネコかイヌかはっきりしろと言われそうですが…

日本ではカタカナで表記
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ミヤマホオジロ

日本の種名(標準和名)はカタカナで記載されています。漢字の国ですので鶯、燕などもありますが、どうしてカタカナ表記になったのでしょうか。元々漢字は中国で作られたものです。漢字は文字そのものは持ち込まれましたが、物として持ち込まれたのは薬品や動植物の一部に限られてしまいます。日本の生物と中国の生物は違う種も多くいますので、名前を付けるときには、その字に相応しいと思われる生物に適当な漢字をあてはめていったようです。そのため、学術的にも不都合がでたようで、ひとおもいにカタカナ表記してしまえ!となったとの事です。

私の好きな鳥にミヤマホオジロという鳥がいます。学名はEmberiza elegans (命名者は省略)エンベリザ エレガンスです。エンベリザはホオジロ属ですので、エレガンスなホオジロ属の鳥ということになります。まさに名は体を表すです(私の勝手な思いですが)。ホモサピエンスの方々はどうでしょうか。賢い人族と言えますか。地球が悲鳴を上げているのに、我の都合で物事を決めていませんか。学名に恥じない行動をとって欲しいものです。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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