テクニカルノート

2月のカワセミ第135号 フクロウの耳

2008年3月9日発行

トラフズク

トラフズク
学名 Asio otus

トラフズクの大きな耳を見たいと思っていた。
顔盤と一体になっている前耳介をそっと開くと、素肌の外耳道が現れる。
トラフズクの裏側の秘密を探った。

外耳道を観察

トラフズクの骨

届けられたロードキルのトラフズクは後頭部から背にかけてひどく損傷しており、脊椎骨折が疑われた。体重はわずか162gしかない。

前耳介を開いて、外耳道をチェックする(上)。音源定位のため左耳と右耳の構造の違いがよく分かる。眼の裏側や下顎骨が薄い皮膚を通して見える。ちなみに、耳孔の前にある皮膚でできた弁は、人が耳に掌をそばだてるように、音を集中させる役割があるそうだ。

多発性骨折

骨折部位は、頚椎と胸椎の境界と、仙骨のすぐ上の2箇所が破壊されていた。強い衝撃に弱いところである。左肋骨も骨折しており、いわゆる多発性骨折だが、骨格標本(右)と羽標本(裏)にして遺すことができた。

※トラフズクは宮城県レッドデータブックにおいて情報不足種である。

  • 参考文献
  • クリス・ミード「フクロウの不思議な生活」晶文社、2001

自然観察新聞 2月のカワセミ第135号 フクロウの耳

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羽標本

トラフズクの羽

トラフズク
学名 Asio otus

音を消す羽の秘密

前号で羽標本の作り方を紹介したが、対象は小鳥であることを断っておく。トラフズクのような猛禽類の風切羽や尾羽は手で簡単に羽を抜くことができないからである。羽軸をしっかりと固定している皮膚を切開しながら採取する作業になる。死んでも羽を離さない猛禽魂を感じるときである。

初列風切羽の外縁にあるギザギザの鋸歯が分かるだろうか(右)。羽毛には細かく柔らかい繊毛が生えている。また、風を流す翼の後縁はやわらかく、これらは羽音をたてずに獲物に近づくための消音効果があるとされている。森の忍者の装束である

※ハクセキレイが繁殖していることを知らないこの家の主は、ツバメの雛の巣立ちと同時に納屋の扉を閉めてしまう。その前に、ハクセキレイの雛は無事に巣立ちできるだろうか。

  • 参考文献
  • 川上親孝編集「大自然のふしぎ 鳥の生態図鑑」学習研究社、1993

バード・ウォッチング

ハヤブサ

ハヤブサ
学名 Falco peregrinus

雄と雌が共同で狩り

その日は朝から、ペアのハヤブサがいくつかの見張り場を移動していた。午後1時34分、断崖から飛び立った雄が、岩陰へ急降下して、消えた。狙われたのはウミネコだった。眩しい光が一枚の羽毛を運んできた。「成功したに違いない」と思った。雄から獲物を与えられたのか、獲物を運んできた雌が食事場で解体をはじめた。雌が満腹になると、雄も食べはじめた。時間をかけてゆっくりと食事したあと、2羽はお気に入りの見張り場で、落陽の海上を見つめていた。春を予感させる一日だった。

※膨らんだ?そ嚢と鮮血が生々しいのは、ご馳走の証しである。 雄が食事している間も、周りへの警戒を怠らない雌(上)。

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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