テクニカルノート

3月のカワセミ第136号 ガビチョウの餌

2008年3月31日発行

ガビチョウの餌

「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で指定されているガビチョウは
昆虫食、果実食で知られているが
カエルにとっても脅威の捕食者であることがわかった。

臭いカメムシも好物

ガビチョウ

ロードキルのガビチョウが冷凍で届いた。添付されたラベルによれば2007年5月3日に宮城県山元町で発見、採集された遺体である。解凍後、解剖してみると砂嚢(筋胃)の中から未消化の昆虫の亡骸が出てきた。事故直前まで地上採餌に励んでいたのだろう。クリーニングした胃内容物(上)を、「仙台市太白山自然観察の森」のT氏と同定した。T氏は実体顕微鏡を覗きながら、カメムシ、ゴミムシ、ハネカクシ、コメツキ、ハムシ、アリ、と小気味好くピンセットで分けていく。「このトゲヒシバッタは、湿地や田圃などの水辺にいるんだよね」と、バッタ好きのT氏。さらに「これは骨だよね」と言いながら私に実体顕微鏡を促した。

幼体カエルを捕食

クリーニング中に5、6mmの細長い骨片11個の存在は知っていた。仔細に観察すると、小型哺乳類の骨格ではない三様の特徴があった。ガビチョウが食べたのは5月であるから、と標本箱の山からニホンアカガエルに目が留まった。カエルの骨格標本と照合してみると、謎の三様の骨片は上腕骨、橈骨尺骨、腸骨の三様であることが判明した。ガビチョウはトゲヒシバッタよりも小さい幼体ガエルも捕食していたのだ。

自然観察新聞 3月のカワセミ第136号 ガビチョウの餌

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動物園へ行こう

シロサイの骨

シロサイ
学名 Ceratotherium simum (Burchell,1817)

サイの骨をクリーニング

大型獣でそれに見合う晒骨機がない場合は土中埋設が多い。仙台市八木山動物公園で、3年前に埋設された雄のシロサイを掘り出すことになった。3年経過した骨は土の色が浸透し、腐食が進んで脆くなっていた。慎重に温流水で付着している土を取り除いていくと、陸生哺乳類でゾウの次に大きいシロサイの骨が蘇った。
頭骨(右)の最大長は84㎝もある。2本の角を支えていた鼻骨と前頭骨には、サンゴ礁のようにごつごつと骨化した土台があった。

貴重な骨格資料となったシロサイ君は、将来の展示デビューを控えて大切に保管される。

  • 参考文献
  • 今泉吉典監修「世界の動物 分類と飼育4〔奇蹄目・管歯目・ハイラックス目・海牛目〕」(財)東京動物園協会、1984

フィールドサイン

ハタネズミの棲家

ハタネズミ
学名 Microtus montebelli (Milne-Edwards,1872)

ペリットで動物探し

彼岸過ぎの茨城県北へ行った。標高700mにある牧草地の雪はすでに融けて、冬の間活動していたネズミ科の坑道が春の光を浴びていた(右)。環境からハタネズミの棲家と考えられるが、確かめる方法はある。

草地を見渡せる、枝振りの良いアカマツがあった。その根元に立つと、まだ新しい猛禽類のペリットが2個あった。獣毛の塊を崩していくと、ハタネズミ亜科特有の三角柱を束ねた臼歯が出てきた。さらに、下顎骨と大臼歯(左上)も見つかり、ハタネズミ同定の根拠となる「5個の閉鎖三角形」(矢印)も確認できた。

  • 参考文献
  • 阿部永「日本産哺乳類頭骨図説」北海道大学図書刊行会、2000

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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