テクニカルノート

9月のカワセミ第141号 胸骨

2008年10月11日発行

左からハシブトガラス、ドバト、ヤマドリの胸骨

左から ハシブトガラス(Corvus macrorhynchos)
ドバト(Columba livia var. domestica)
ヤマドリ (Syrmaticus soemmeringii)

オオタカが繁殖を終えた巣の直下で
餌の食べ残しである骨が見つかることがある。
わずかな食痕の手掛かりでも
骨格標本から、食べられた種が判明できる。

胸骨で目(もく)を特定

コジュケイの骨

コジュケイ 学名 Bambusicola thoracica

※食痕(左)と骨格標本(右)
距で性別もわかる。

鳥類の胸骨は種によって独特の形状をしている。捕食された場合、胸骨の一部が食べ残されるケースも多い。特に、胸骨の上部(頭側)は運動の要であり、心臓を護ることもあって、軽量ながら頑丈にできているため、食痕になりやすい。実はここに、種を解読する鍵がある。
Spina externa sterni(外棘、外剣柄)とSpina interna sterni(内棘、内剣柄)やSpina communis(連合棘)の形質で目(もく)を特定できるのである。

骨格標本の計測値で特定

鳥類の大腿骨とそれに連続する脛フ骨(けいふこつ)…解剖学的には脛足根骨(けいそくこんこつ)という…も食痕に多く見られる(右)。この大腿骨の最大長は51.3㎜、脛フ骨の最大長は68.9㎜あった。オオタカの食痕に詳しい日本オオタカネットワークJAWG(代表遠藤孝一、静岡県焼津市)の新井真・事務局長は「サイズが合致するのはコジュケイです」と話している。

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ビーチコーミング

ハシグロアビ

ハシグロアビ
学名 Gavia immer

砂の中から迷鳥

平成15年4月に宮城県亘理郡亘理町の海岸で、種がわからない海鳥の骨を採集した(右)。

上:ハシグロアビの頭蓋骨、下:オオハムの頭蓋骨

上:ハシグロアビ 学名 Gavia immer
下:オオハム 学名 Gavia arctica

最近、海外の海鳥頭骨サイトでその不明種の頭骨に似た画像を見つけた。アビ科らしい。採集した頭骨は、前顎骨・上顎骨が欠損しているため頭骨最大長はわからないが、頭蓋長は71㎜、下顎骨長は155㎜あった(右下)。
そのサイトによれば、採集骨は頭骨最大長159~164㎜、頭蓋長66~74.4㎜のハシグロアビらしい。

※オオハム(下)の頭蓋骨と比較すると、採集骨(上)の大きさがよくわかる。

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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