テクニカルノート

10月のカワセミ第142号 北限更新

2008年11月3日発行

ニホンカモシカの骨

カヤネズミ
学名 Micromys minutus (Pallas,1771)

仙台市のすぐ南で、カヤネズミ(ネズミ科)の球巣のようなものが見つかったという。
カヤネズミの生息分布の北限は、宮城県南の亘理町になっている。
北限の更新につながるのか?
現地を歩いて、確認した。

球巣と成獣を確認

ニホンザリガニ

カヤネズミ
学名 Micromys minutus (Pallas,1771)

10月13日早朝、仙台市の南に隣接する川崎町の休耕田を朝露に濡れながら歩いていた。カヤネズミの球巣があったという発見者からの情報を確認するためである。

太平洋側におけるカヤネズミの生息分布の北限は、2000年の「11月のカワセミ」第53号でも掲載した宮城県山元町であった。その後、2005年に球巣が確認された亘理町が北限として更新された(全国カヤネズミ・ネットワーク2005)が、亘理町の北を流れる阿武隈川を、小さなカヤネズミが渡るのは困難だろうと思われた。

今、その阿武隈川からさらに北にある川崎町の休耕田を歩いている。球巣はすぐに見つかった(右)。地上から65㎝の高さで、ビロードスゲ(杉木緑、エコリス)に掛けられていた。

3日後、宮城野野生動物研究会(高橋修代表)が成獣を捕獲(上)して確認した。

※巣の大きさは、高さ10㎝、横7㎝の球形。

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対捕食者防御

ヤマカガシ

ヤマカガシ
学名 Rhabdophis tigrinus

ガマの毒で身を護る

ヤマカガシの頭の後の骨の両脇に十数対並んでいる頸腺(けいせん)と呼ばれる特殊な器官は、約70年前に発見されたが、その機能は不明だった。

京都大学大学院理学研究科の森哲助教授(当時)は、米オールド・ドミニオン大との共同実験で、ヤマカガシが捕食したヒキガエルの毒bufadienolidesを頸腺に蓄えて、ワシなどに襲われた際に毒液を放出して撃退するのに利用していることを発見した。

また、ヒキガエルを食べていない幼蛇には毒は形成されないが、充分な量の頸腺毒を持つ母親から、頸腺毒を持つ幼蛇が産まれることもあるという。

※黄色の毒bufadienolidesを浴びないように、頸腺を押さえているが、総排出口から出す独特の悪臭がしていた。撮影後、開放すると、腹を見せて擬死行動も見せた。

サンショウウオ・ウォッチング

サンショウウオ属のなかま

サンショウウオ属のなかま
学名 Hynobius sp.

非繁殖期の姿を目撃

青森県むつ市でサンショウウオの成体を見た(右)。
非繁殖期のトウホクサンショウウオとクロサンショウウオを見分けるのは難しい。奥山風太郎によれば、トウホクサンショウウオは「前あしを後ろに、後あしを前にたおすと重なる」という。しかし、中村・上野はクロサンショウウオについても「四肢は目立って長く、体側に沿って伸長すると2肋条分ほど重なり合う」としている。

トウホクサンショウウオの後肢の第5趾は、多くが短小、退化しているが、完全な個体もいるという。また、クロサンショウウオの尾は側扁し、先端がとがっているというが、どうだろうか?

※トウホクサンショウウオのように見えるが、クロサンショウウオかも?

  • 参考文献
  • 中村健児、上野俊一「原色日本両生爬虫類図鑑」、保育社、1963
  • 松橋利光、奥山風太郎「山渓ハンディ図鑑9日本のカエル」、山と渓谷社、2002

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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