テクニカルノート

1月のカワセミ第145号 翼式

2009年2月22日発行

正月元旦の帰省先(東京都江東区)で、オナガの斃死体を見つけた。
カササギ属の標本として、羽標本と骨格標本を製作した。
標識調査において識別に使われる翼式と
羽標本との違いを見た。

羽標本と翼式の違い

海洋をおもな生活場所としている鳥の頭骨

オナガの初列風切羽を並べてみた。最も長い羽はP4で116.1㎜あった。長い順に並べかえると、P4>P3>P5>P2>P6>P1>P7>P8>P9となった。左翼も同様であった。

標識調査で識別に利用される翼式というものがある。翼式について、財団法人山階鳥類研究所広報室は「風切羽を引き抜くことなく、翼を畳んだ自然状態で、各風切羽の先端が突出している度合いの順番を示した式です。風切羽は1枚ずつ生えている場所がずれていますので、それぞれの羽毛の長さの順番と翼式とは異なったものになります。風切の数は種類に依って一定しており、また各羽の長短の具合もほとんど一定しているものであり、それゆえ、これを翼式と呼んで分類に用いられています」と話している。

それによれば、オナガの翼式は5≧4>3>2>1>6>7>8>9となる。

  • 参考文献
  • 清棲幸保「日本鳥類大図鑑」第1巻 講談社、1952

自然観察新聞 1月のカワセミ第145号 翼式

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骨格標本

ニホンザルの骨

ニホンザル
学名 Macaca fuscata(Blyth, 1875)

永久歯萌出で年齢を推定

1月8日、仙台市青葉区愛子で宮城野野生動物研究会(代表、高橋修)がロードキルのニホンザルを発見した。連絡を受けた私は、剖検された後の雄のニホンザルに宮城教育大学で対面した。

骨格標本のための処理を始めながら、歯を観察した。ニホンザルの乳歯は約6.25歳までに永久歯に生え変わる。永久歯の萌出順序は、第1大臼歯→第1切歯→第2切歯→第2大臼歯→小臼歯→犬歯(雌は小臼歯と犬歯が同時期)→第3大臼歯である。ロードキルの個体は、4歳9月の若い雄だった。

※永久歯の犬歯の萌出が始まり、第3大臼歯が未萌出のことから、5年前の4月に産まれた個体であることが判明した。

  • 参考文献
  • 桐野忠大・佐伯政友「高崎山野生ニホンザルの口腔内諸形態」-歯の加齢的変化(萌出、咬粍)-伊谷純一郎・池田次郎・田中利男編「高崎山の野生ニホンザル」餌さづけ10年目の総合調査報告 勁草書房1964. p.124-135
  • 岩本光雄・渡辺毅・浜田穣、ニホンザル永久歯の萌出年令「霊長類研究」vol.3.1987.p.18-28

骨格標本

キジの骨

キジ
学名 Phasianus versicolor

レストランで採集

1月31日土曜の夜、国分町にあるレストランで妻の誕生日を祝った。若柳産のキジの腿肉が皿に綺麗に盛り付けされて運ばれてきた。蹴爪を見た私は思わず「雄だ!」と叫んでしまった。妻は笑いながら「頂いて帰れば」と、そそのかした。

キジ成鳥雄の左フショ骨(足根中足骨)と趾骨(しこつ)として骨格標本になった(右)のはいうまでもない。数字は各骨の最大長(㎜)である。これを記録しておくと、正確な部位がわかるため、最近私が執る方法である。

※「さんぜんしそく」は樹上での枝止まりや地上での歩行に適している。

  • 参考文献
  • 笹川昭雄『日本の野鳥 羽根図鑑』、東京、世界文化社、1995、p303
  • 高田勝、叶内拓哉『羽 原寸大写真図鑑』、東京、文一総合出版、2004、p304

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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