テクニカルノート

7月のカワセミ第150号 子育て

2009年8月9日発行

仙台市泉区の人工池で、カイツブリが繁殖していた。
天敵からは無防備とも思える浮き巣だが、
2羽の雛は元気で、親から餌をもらったり、親の背で休んだりしていた。
カイツブリの子育ては、秋まで続く。

成長する雛は2%

浮き巣

カイツブリの産卵数は3個から6個だという。
昔読んだ中西悟堂の「こども野鳥記」に、カイツブリの卵を狙うアオダイショウに、母鳥が立ち向かっていく話があった。また、石部虎二の「かいつぶり」には、カラスが3つの卵をくわえていく場面がある。私が見た子育て中のカイツブリは、親に寄り添う雛と、親の背に隠れる雛の2羽だった(上)。
無事に成長する雛は2%ほどだという。子育てで疲れた親と満腹の雛は、浮き巣で休息をとった。

水中に逆円錐形の浮き巣

この浮き巣作りは番(つがい)で行なう。巣材は池に自生するマコモやハス、アシ、キンギョモなどの葉や茎を運んで作る。大きさは目測で直径約45㎝あったが、その底は水中に30㎝から40㎝も沈んでいるという。2ヵ月後、親鳥から充分な子育てを受けた雛は、親から離れて暮らす時間が増え、自分で餌を捕るようになる。

  • 参考文献
  • 中西悟堂『こども野鳥記1』偕成社、1971
  • 石部虎二『かいつぶり』福音館書店、1980
  • 菅原光二『カルガモ・オオバン・カイツブリ・オナガガモ』誠文堂新光社、1993

自然観察新聞 7月のカワセミ第150号 子育て

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周日本海型分布

ヒメザゼンソウ

ヒメザゼンソウ
学名 Symplocarpus nipponicus Makino (Araceae)

氷河期の遺存植物

7月も下旬となった22日に、仙台市泉区根白石にある里山を歩いていたらザゼンソウのミニチュア版(高さ45㎜)を見つけた。

今にも森の妖精が現れそうな川のほとりで、紫の頭巾(仏炎苞(ぶつえんほう))を被った顔(花序)に目・鼻・口の花が咲いていた。天を指している腕(かいな)は来年の芽らしい。

7万~1万年前のウルム氷期、日本海は外海から隔離された内陸海で、その周日本海(環日本海)地域は生物の避難場所になっていた。ヒメザゼンソウはその遺存植物らしい。

※ヒメザゼンソウ…サトイモ科で、ザゼンソウと同じザゼンソウ属だが、 春の葉が枯れてから、花が咲く。画像では見えないが、地中に昨年の果実が熟している。

  • 参考文献
  • 西村三郎『日本海の成立 生物地理学からのアプローチ』築地書館、1974、p227

フィールドサイン

球巣

カヤネズミ
学名 Micromys minutus (Pallas,1771)

ススキに繁殖巣

昨年10月13日に宮城県柴田郡川崎町で生息を確認したカヤネズミ(第142号)の続報。
今年4月12日にも同地の休耕田でカヤネズミの球巣を確認した。その後、繁殖を確認したいと思いながら時間がとれず、7月になってしまった。
8日、休耕田は草刈をされて、巣を掛けられそうな葉が無かったが、隣接したススキ原に繁殖巣が掛けられていた。ススキの葉を細く切り裂いて編み込んでいた。カヤネズミは休耕田とススキ原を上手に利用しているのだろう。同地を訪れる毎に球巣を確認できるため、まとまった個体群が生息していると、思われる。

※写真は地上150㎝の高さに掛けられていた繁殖巣。

ホネホネサミットに出展予定

8月22~23日、大阪市立自然史博物館で開催される「ホネホネサミット」に、ボーン企画は捕食をテーマに「骨の食痕コレクション」を出展する予定。

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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