テクニカルノート

8月のカワセミ第151号 食痕

2009年9月5日発行

骨の食痕コレクション

22日・23日、大阪市立自然史博物館で
全国の骨研究者・愛好家が「ホネホネサミット」に参加した。
出展者は37団体・個人で、
ボーン企画は、捕食をテーマに「骨の食痕コレクション」を展示した。
2日間の入場者数は8300人だった。

ボーン企画が会場で出展した中から一部を紹介する。骨の食痕は、動物の食べ残し、ペリット、糞から採集された骨をクリーニングして、同定したものである。

動物が食べ残した骨

  • クマタカの繁殖巣の直下にある食べ残しを調べることで、親が雛に運んできた餌がわかるが、ムササビの下顎骨が出ることがある。

  • ムササビの下顎骨

    ムササビの下顎骨

  • 同様にオオタカの繁殖巣の直下ではカラスとハトの骨が多い。上腕骨の最大長でハシボソガラス(56㎜~)とハシブトガラス(~79.3㎜)の識別が可能だが、中には中間の上腕骨(70㎜)が出ることもある。同じくレースバトの上腕骨はドバト(45㎜)のそれよりも最大長が長く、47~52㎜となる。

  • カラスとハトの上腕骨

    カラスとハトの上腕骨

  • キツネが食べ残したノウサギの歯は特徴がある。

  • ノウサギの歯

    ノウサギの歯

猛禽のペリットから推理

  • フクロウと思われるペリットからホンドモモンガの上顎骨・下顎骨が出てきた。

  • ホンドモモンガの上顎骨・下顎骨

    ホンドモモンガの上顎骨・下顎骨

  • フクロウは餌を丸呑みする傾向があり、食痕の損傷が少ない。捕食されたアズマモグラの寛骨・仙骨に尾椎が揃って出るほどである。

  • アズマモグラの寛骨・仙骨・尾椎

    アズマモグラの寛骨・仙骨・尾椎

糞の中はドラマチック

  • 亜高山帯にあったオコジョの糞から椎骨が2個でてきた。凸凹の球関節になっているが、腹突起がないことからナミヘビ科のものである。

  • ナミヘビ科の椎骨

    ナミヘビ科の椎骨

26ブースの中では地味なテーマながら、骨好きの来館者たちの熱心な質問や骨に対する情熱に圧倒された二日間だった。

自然観察新聞 8月のカワセミ第151号 食痕

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カエル・ウォッチング

カジカガエル

カジカガエル
学名 Buergeria buergeri (Temminck et Schlegel,1838)

森に棲むカエル

8月24日、山形県にあるブナ林の林床で見慣れないカエルが跳ねていた。
背面に背中線や背側線がなく、全面をまだら模様が被っている。四肢の指に発達した吸盤があり、後肢には水掻きがある。4月から7月の繁殖期に清流で鳴いていたカジカガエルである。

川の瀬で雌を求めて2ヶ月以上も鳴き続ける雄もいるらしいが、雌の繁殖場での滞在日数はたった1日という。繁殖期を過ぎた今は河川の周辺の草原や森林で、昆虫や節足動物を食べて生活しているのである。

  • 参考文献
  • 内山りゅう・前田憲男・沼田研児・関慎太郎『決定版 日本の両生爬虫類』平凡社、2002
  • 福山欣司、渓流での繁殖なわばり、『朝日百科動物たちの地球5両生類爬虫類』朝日新聞社、1994、p.88-89

爬虫綱有鱗目ナミヘビ科ナメラ属

シマヘビ

シマヘビ
学名 Elaphe quadrivirgata

ヘビの年齢がわかるか?

標識再捕獲法でシマヘビの成長を調べた文献があるので、紹介する。

9月上旬に孵化した全長30㎝の幼蛇は、10月末の第1回の冬眠直前(年齢2ヵ月)で雌36㎝、雄42㎝に成長。第2回の冬眠直前(年齢1年2ヵ月)では雌70㎝、雄80㎝になる。第2回冬眠後の5月(年齢1年8ヵ月)に雌雄とも成熟して交尾する。7月(年齢1年10ヵ月)に雌が産卵、以後毎年1回産卵が可能になる。第3回の冬眠直前(年齢2年2ヵ月)で雌90㎝、雄96㎝となる。第7回目の冬眠直前(年齢6年2ヵ月)では雌114㎝、雄136㎝に達する。以上は標準的な記録で、全長だけで年齢推定はできない。詳しくは以下の参考文献で。

  • 参考文献
  • 深田祝・森口一、日本の無毒ヘビ『朝日百科動物たちの地球5両生類爬虫類』朝日新聞社、1994、p274-277

環境調査員 骨格標本製作 自然観察新聞発行
海棲哺乳類・爬虫類ストランディング調査
ボーン企画 代表 橋本 勝

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