テクニカルノート

オオタカHSIモデル

文:環境情報室 水谷 貴行 2009年12月4日

オオタカ(Accipiter gentilis


生態

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オオタカ Accipiter gentilis

オオタカ(Accipiter gentilis)は、全長47~59cm、翼開長106~131cmほどの猛禽類である。北海道、本州、四国、九州に分布するが、周年同じ場所に生息する留鳥個体と、繁殖地から越冬地に渡を行う渡り個体が混在する。生息環境は、平地から山地の森林だが、最近では都市型のオオタカも増加している。

繁殖活動は、1~2月頃に始まり、3月頃に巣造りをし、4~5月頃に1~4卵産卵する。5月下旬~6月上旬に孵化した後、順調に育てば6月下旬~7月上旬に巣立つ。巣立ち後、1~2ヶ月で親から独立して分散する。

食性は、スズメ、ムクドリ等の小型鳥類や、ハト、カラス、キジなどの中型の鳥類を主に捕食する。ネズミやリスなどの小型の哺乳類も捕食するが、その割合は鳥類に比べて低い。狩り場は、森林と農耕地が隣接する林縁や、空間のある林内などである。

繁殖ペアの行動圏は、700~1200ha程度である。

環境要因の選定(BPJ)

「人間活動の影響を受けない営巣適地があり、その周辺に良質な餌動物の生息環境と狩場環境が存在する」

ハビタット変数の設定

BPJによる生息条件とハビタット変数の関係

BPJによる生息条件とハビタット変数の関係

SI値の設定

V1:林縁からの距離
林縁からの距離SI
0~50m0.0
50~200m1.0
200~500m0.8
500m~0.5

営巣地は、人間活動の影響を受けず、かつ林外に飛びやすい場所が選好される。そこで、林縁から50~200mの範囲をSI=1.0と設定する。

V2:傾斜

オオタカは傾斜が緩い場所を営巣地として選択することが多く、傾斜20度までの場所をSI=1.0と設定する。傾斜が40度以上の場所は、営巣地として不適のためSI=0と設定する。

V2:傾斜
V3:樹種
標高SI
アカマツ、クロマツ1.0
スギ、カラマツ0.8
モミ0.6
その他0.0

オオタカは東北地方では主に、アカマツ、クロマツ、スギ、カラマツ、モミを営巣木として利用している。樹種ごとの利用頻度とその面積割合を考慮して、以下のようにSIを設定する。

V4:1800m圏、市街地率

半径1800m圏の市街地率を、「良質な餌環境と狩場環境の存在」を表す変数とする。オオタカは人間を警戒して忌避するので、市街地率0~2割の場所をSI=1と設定する。

V4:1800m圏、市街地率
V5:1800m圏、森林率

半径1800m圏の森林率を、餌環境の存在を表す変数とする。行動圏の3割以上が森林であれば、餌動物の生息環境は十分あると考えSI=1.0と設定する。

V5:1800m圏、森林率
V6:1800m圏、農地草地率

半径1800m圏の農地草地率を、狩場環境の存在を表す変数とする。農地、草地は、オオタカが狩りをするためのオープンスペースとなるため、行動圏のなかにある程度存在することが望ましい。そのため農地、草地が2割~6割を占める場所をSI=0と設定する。ただし、森林性のオオタカのように、狩りを林内の開けた場所で行うこともあるので、農地草地が存在しない場所もSI=0.5と設定する。

V6:1800m圏、農地草地率

HSIの算出

HSI = V11/6×V21/6×V31/6×V4 1/6×V51/6×V61/6

幾何平均を用いる。

※地図上では、HSI>0.8を表示している。

考察と課題

利用している植生図の精度が1/50000のため、小林分だが生息条件を満たす場所が、表現できていない。
営巣適地の条件として、林齢や下層植生の有無が重要だが、表現できるデータが存在しないので利用していない。
市街地率は、都市型のオオタカの例を考えると、あまり関係ないのかもしれない。

モデルの適用範囲

東北地方および周辺地域

利用データ

  • 自然環境基礎調査 植生図
  • 基盤地図情報 標高

参考文献

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