テクニカルノート

クマタカHSIモデル

文:環境情報室 水谷 貴行 2009年11月18日

クマタカ(Spizaetus nipalensis orientalis


生態

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クマタカ Spizaetus nipalensis orientalis

クマタカ(Spizaetus nipalensis orientalis)は、翼開長140~165cmほどの大型の猛禽類である。北海道、本州、四国、九州に留鳥として分布し、本州では、標高1500m辺りまでの森林(落葉広葉樹林、針広混交林など)に生息する。

繁殖活動は、11~12月頃に始まり、1~3月頃に巣造りをし、3月上~4月上旬に1卵のみ産卵する。4月下旬~5月上旬に孵化した後、順調に育てば7月中旬~8月中旬に巣立つ。毎年繁殖する個体や、数年おきに繁殖する個体がいる。

食性は、ノウサギやイタチなどの小型の哺乳類、キジやヤマドリなどの鳥類、その他ヘビ類などを食べる。狩り場は、山間の伐採地や林道などの林縁、河川沿いなどである。

繁殖ペアの行動圏は、10~25Km2程度である。

環境要因の選定(BPJ)

「豊かな森林が広がる、山腹の谷の中の急斜面の中ほど付近の林内」

ハビタット変数の設定

BPJによる生息条件とハビタット変数の関係

BPJによる生息条件とハビタット変数の関係

SI値の設定

V1:2.5Km圏森林面積

半径10Km圏森林面積を、奥山に続く森林を表す変数とする。半径10Km圏すべてが森林である地域は、冬眠に最適な奥山でありSI=1.0と設定する。森林の面積が6割以下になると森林が小さなパッチに分断されている可能性が急激に高くなるので、SI の傾きを急に設定する。森林の面積が3割以下の場合、奥山に続く地域の可能性が極めて低いのでSI=0と設定する。
V1:2.5Km圏森林面積

V2:標高
標高SI標高SI
~0m 0.0600~800m0.8
0~100m0.1800~1000m0.3
100~200m0.51000~1700m0.1
200~600m1.01700m~0.0

東北地方において、おおよそ山の中腹にあたる標高200~600m付近は、生息適地であるためSI=1.0と設定する。

V3:2.5Km圏相対高度
相対高度SI
0~10%0.2
10~60%1.0
60~90%0.2
90~100%0.0

半径2.5Km圏の最高地点を100%、最低地点を0%とする。相対高度が10~60%の場所は、行動圏内の標高の低い地域にあたりSI=1.0と設定する。

V4:100m圏標高差
標高差SI
0~50m0.0
50~350m1.0
350m~0.5

半径100m圏標高差が50~350mの場所は、谷の付近となるとしSI=1.0と設定する。

V5:20m圏最大傾斜
傾斜SI
0~10°0.0
10~20°0.1
20~30°0.5
30~70°1.0
70°~0.0

半径20m圏最大傾斜を「急な斜面」を表す変数とする。傾斜が30~70°の場所をSI=1.0と設定する。

V6:100m圏相対高度
標高差SI
0~10%0.0
10~40%0.5
40~80%1.0
80~90%0.8
90~100%0.3

半径100m圏相対高度を「小地形での斜面位置」を表す変数とする。相対高度は、半径100m圏の最高地点を100%、最低地点を0%とする。相対高度が40~80%の場所は、(小さな)斜面の中ほどから上がった位置にあたりSI=1.0と設定する。相対高度が100%だと(小さな)尾根上にあたりSI=0.3、0%だと(小さな)谷底にあたりSI=0と設定する。

V7:樹林の有無
樹林の有無 SI
有り 1.0
無し 0.0

営巣木となる樹林が必要なので、以下のようにSIを設定する。

HSIの算出

HSI = V11/7×V21/7×V31/7×V4 1/7×V51/7×V61/7×V71/7

幾何平均を用いる。

※地図上では、HSI>0.8を表示している。

考察と課題

クマタカには縄張りがあるため、実際の生息地は、その影響を大きく受けて決定されているはずである。
東北地方以外では、「標高」の条件に違いがあるのではないか?

モデルの適用範囲

東北地方および周辺地域

利用データ

  • 自然環境基礎調査 植生図
  • 基盤地図情報 標高

参考文献

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