テクニカルノート

仙台青葉祭り

文:佐竹 一秀 2012年6月1日

青葉祭りのすずめ
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スズメ

5月19、20日は新緑のケヤキ並木に祭囃子が聞こえ、仙台青葉まつりが賑やかに開催されました。昨年は震災の影響で中止され、今年復活しました。2日間とも天気がよく、参加者、観客も爽やかな風を感じながら、お祭りを満喫できたのではないでしょうか。少し前まで、娘がお囃子隊に参加していたこともあり、祭囃子に誘われて、私も見てきました(地元復興にかこつけて、飲み食い専門でしたが…)

青葉祭りにかかせないものが「すずめ踊り」です。1603年(慶長8年)の仙台城の築城移転の祝いの席において、泉州・堺から仙台に来ていた石工職人たちが、浮かれて跳ねた踊りが元になっていて、踊る姿が餌をついばむスズメに似ていることや、伊達家の家紋が「竹に雀」であることから「すずめ踊り」と呼ばれるようになったと言われています。

前置きが長くなりましたが、すずめ踊りからスズメの話に持って行くのが筋ではありますが、今回は「竹に雀」の家紋から「竹」の話にいきます(私も一応、佐「竹」を名乗っていますので…)。また、タケノコは今が旬?(ネマガリタケもそう)。

竹は草?それとも木?その答えは…
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タケノコ

タケは草か木かどっちだ、という話を聞いたことはありませんか。木(樹木)は茎(幹)が堅くて数十年から数百年の寿命を持っていて、大きく(高く)なります。草(草本)は茎が柔らかく、一年草のように成長が早く1シーズンで種子を残して世代交代するものや、多年草でも数年で世代交代し、また冬季は地上部が枯れてしまう種もほとんどです。大きさや寿命を考えるとタケは樹木に似ていますが、茎の断面に年輪のような層がみられず、地下茎で増えることや成長の速さは草本に近いといえます。そのため、どちらかといえば樹木と言われているようです。が、タケは草でも木でもなく竹だ!と言うのが答えのようです。

タケの成長速度の秘密
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竹林

タケは成長が早いことでも知られています。芽(タケノコ)を出してから、2~3ヶ月で20m程の高さにもなります。24時間で1.2m以上伸びたというマダケの記録もあるようです。なぜこのように早く成長できるのでしょうか。その秘密は節にあります。一般の植物は茎の先端部に成長点があり、その部分が細胞分裂して成長します。一方タケは節の部分に成長点(帯)があり、そこが伸びます。節は通常1本のタケに60個程あり、先端部の節のみが伸びるのではなく、全ての節で同じように伸びます。単純計算すると60倍のスピードで成長することになります。また、茎の内部は空洞ですので、他の植物のように細胞で埋め尽くす必要がない分、さらに成長が早くなります。

タケは温暖で湿潤な環境に生育しますので、日本を含む東アジアから東南アジアといった地域に多く見られます。日本でもより温暖で湿潤な西日本、九州地方に多く、逆に北に行くほど少なくなり、竹林は道南が北限となっています。そのため、札幌出身者が初めて本州以南に来たときに、竹林を見てこれは何だ!となるようです。近年、この竹林が環境問題になってきています。我々は竹林の北限に近い東北地方にいますので、あまり感じていませんが、西日本では顕在化してきています。

放置された竹林の問題
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竹林の林床

日本では戦後、タケノコや竹材の生産のために、多く場所で竹が植えられ竹林が造られるようになりました。タケは成長が速く、地下茎からの養分で成長しますので、光をあまり必要としません。そのため、植えられたタケは周辺の森林内に侵入、拡大していきます。竹林内はタケが繁茂することで光が遮られ、下層の植生が発達せず、また地下茎が密生し、他の植物を枯らしていき、最終的にはタケのみの純林になります。一方で、春先に中国産のタケノコが店頭でよく見られるように、安価なタケノコや竹材が中国等の諸外国から輸入されています。農家の高齢化や担い手不足、それに加えて代替資材の普及により、手入れのされない放置され竹林が増えてきています。また、タケの根(地下茎)は横方向には延びますが、縦方向は深さ、30cm程度しかありません。そのため、雨水の涵養力も小さく、土砂災害や土壌崩壊等の危険も含んでいます。

成長の早いタケの特性と放置林により、竹林が増え続けています。放置竹林は他の樹木の成長を抑制し、下層の植物も育ちにくく、単純化していきます。それにともない、昆虫類や鳥類の種類数も少なく、生物多様性の低下が考えられます。また、周辺の森林にもタケが侵入・繁茂していきますので、森林全体としての多様性が低下し、さらに進んで西日本の生物の多様性の低下にもつながりかねません。温暖化で東北地方も…

タケとササの区別
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ササ類

タケの近縁種にササがあります。(全く訳に立ちませんが)タケとササの区別点をお教えします。一般的には大型のものタケ類、小型のものをササ類と呼んでいましたが、タケノコが成長をして若竹になるときに、皮が茎から全て落ちるものをタケ、何年も皮がついているものをササというようになりました(右の写真は→部分に皮が残っていますのでササの仲間です)。

かぐや姫は竹の中で息ができた?

ついでにもう一つ、さらにどうでも良い話をします。竹取物語のお話はご存じすよね。お爺さんが竹林に行くと竹が光っていて、なかからかぐや姫がでてくる物語です。確かにタケは中が中空ですので、何かが入っていてもよいのですが…。タケの中の気体の成分はどうなっているのでしょうか。一般の大気は窒素が78%、酸素が21%、二酸化炭素が0.03%程度です。タケの中を調べた結果では、酸素が14~19%で人間の呼気に含まれ量と同じ程度でした。しかし、二酸化炭素は2~6%と高くなっています。二酸化炭素は低濃度では人体に影響はありませんが、3~4%では頭痛、めまい、吐き気などの症状が現れます。また、7%を超えると数分で意識がなくなり、危険な状況になります。私は何がいいたいのか!かぐや姫の結末は、月に帰っていっていく物語でしたよね。月に帰って行くということは、かぐや姫は人間ではなく宇宙人(月人)。だからタケの中に入っていても死ななかったのですね。こんなオチはいかがでしょうか。

今後の竹林の状況が気になります。人の手で育てられた植物が、管理が入らなくなると暴走し、さらに面積が広大になり、後から管理しようにもできなくなります。制御できるうちに、何らかの対策が必要と思います(何処か原発に似て怖いです)。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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