テクニカルノート

ロマンスグレーな鳥

文:佐竹 一秀 2014年11月1日
(WEB公開:2017年11月1日)

いちばん好きな冬の小鳥
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ジョウビタキ(♂)

高く澄んだ秋空、どこからか 「ヒッ ヒッ ヒッ」と甲高い鳥の声。あたりを見まわすと、いました。ジョウビタキの♂です。近くの生垣の枝の上です。今年もまた渡って来てくれました。10月20日前後の、北から高気圧が張り出した時期に初渡来を確認することが多いので、北風に乗って中国大陸から一気に渡ってくるのではと、勝手に想像しています。鳥を見始めたころ、実家(涌谷町)の庭先にも来てくれたのですが、地味な色合いのメスでしたので、すぐには名前がわからずドキドキしながら図鑑を調べたのを思い出します。その時の目がとても可愛らしくて、なんという鳥が好きですかと聞かれたら、今でも迷わずジョウビタキのメスと答えます(右下の写真)。比較的人を恐れませんので、静かに見ていると近くまで寄ってきてくれます。

群れる冬鳥
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ジョウビタキ(♀)

冬鳥の多くは群れで過ごします。川や湖に渡来してきたカモ類やハクチョウ類、県北の伊豆沼周辺のガン類は総数が10万を超え、一つの群れでは数十から数百個体にもなります。カシラダカやマヒワ等の冬鳥も群れでいます。繁殖期には別々に縄張りを持っているシジュカラ、ヤマガラ等のカラ類も冬季はエナガやコゲラ、ウグイス、キクイタダキなどと混群を作ります。それに対してジョウビタキは単独で行動し、冬でも縄張りを作ります。時折2羽のジョウビタキがじゃれ合っているところを目にしますが、縄張りを守るために闘っているのです。車のサイドミラーに映った自分の姿を別個体と思って攻撃をしているところも見かけることがあります。

鳥はなぜ群れる?

群れの利点は警戒行動の時間(周囲を見張る時間)が、単独でいるときより短時間ですむことです。そのため、より多くの時間を採餌に充てることができます。特に冬季は餌が少ない上に、気温が低く、体温維持のためにも餌を食べる行動が優先されます。それでは、なぜジョウビタキは群れないのでしょうか。鳥はなぜ群れるかかという文献は数多くあり、上記のような理由が書かれているのですが、なぜ単独でいるかについての文献は探し出せませんでした。群れる事の利点である、餌の確保や外敵から身を守ること以上に単独でいる事にどんな訳があるのでしょうか。群れを作ることでの不都合としては、伝染病の蔓延、遺伝子の多様性が小さくなり、環境変化に対応できなくなることが考えられます。それでこんな話を考えてみました。昔ジョウビタキも群れで生活していました。ある時、大きな環境の変化か伝染病の流行で、種としてほぼ絶滅してしまいました。その時ごく一部に残された個体は、それを教訓として、冬でも単独で生活するようになった…。あくまでも想像ですが…。

ダンディな鳥

ジョウビタキを漢字で書くと、尉鶲となります。尉(じょう)は老人の意味で、雄の頭部が銀色になっていることから、白髪の老人。よく見ると真っ白というよりは灰色、黒髪に白髪が混ざったロマンスグレー(もう死語でしょうか)のダンディ(これも死語)な中年男性のイメージです。鶲(ひたき)の語源は「火叩き」または「火焚き」といわれ、ヒタキ類のよく出すヒッヒッ、ピッピッ、カタカタという声が、火打石をたたくときの音に似ているのでそう呼ばれるようになったとの事です。確かにジョウビタキもヒッヒッという声以外に、カッカッという声もだします。その声は石を打ちつけた時の音に近いようにも思います。また、別名は紋付鳥です。止まっているときに翼にある白い班が着物の家紋に見えることからこう呼ばれています。メスは地味な鳥ですが、白斑は目立ちますので、重要な識別点となります。上の写真は翼の白斑がよく見えませんがメスです。

ルリビタキのメスも地味
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ルリビタキ(♀)

左の写真は近縁種のルリビタキです。この鳥は冬季に丘陵地から山地に渡来し、こちらも単独で生活しています。市街地では見られませんが、青葉山や太白山周辺で見ることができます。読んで字のごとく、オスの成鳥の背面はきれいな青色(ルリ色)です。メスは相変わらず写真のように地味ですが、わき腹にオレンジ色が目立ちます。この鳥もなかなか愛らしいので、今冬是非探してみてください。

近年白髪が増えてきたのですが、それ以上に薄くなり…寒くもありチョット、ピンチです。E-TECの〇〇氏のようにロマンスグレーのダンディな大人になりたかったのですが、無理か…。そういえば親父はロマンスグレーだった(合掌)。

※本記事は、NPO法人環境生態工学研究所発行のニュースレターに寄稿したものです。
※WEB用に多少表記を変えております。また、日付はニュースレターの発行日になります。


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