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いきもの観察キャンプinみちのく湖畔公園 開催報告

2023年11月29日
文:環境調査課 合田 爽馬

プログラム概要

2023年9月2~3日に、株式会社青葉環境保全さんとみちのく湖畔公園管理センターさんとの共催で、「いきもの観察キャンプ in みちのく湖畔公園」を開催いたしました。本プログラムでは、生き物が好きな小・中学生の子どもたちとそのご家族10組32名の方々に公園内の散策やトラップによる採取などを通して里山の様々な生き物に触れてもらいました。
本記事では、実際に参加した社員の声も交えながらプログラムの様子をご報告させていただきます。

○日程
  • 【1日目】2023年9月2日(土):オリエンテーション、トラップ設置、ライトトラップによる昆虫観察(夜間)
  • 【2日目】2023年9月3日(日):園内の生き物観察とトラップ回収、屋内での生き物の解説
○活動場所

■国営みちのく杜の湖畔公園 里山地区
■エコキャンプみちのく 学習エリア・コテージ

里山地区のご案内-みちのく公園 | 東北の自然と文化が体験できる国営公園
キャンプサイトのご案内-みちのく公園 | 東北の自然と文化が体験できる国営公園

1日目:トラップの設置と夜の昆虫観察

オリエンテーション

プログラムの会場となるみちのく湖畔公園里山地区には、かつて炭焼きが行われた雑木林や100年前に植えられたスギの植林地、細流や湿地など様々な環境が保全され、多様な生き物を観察することができます。9月2日(土)14時、里山地区の南端にある交流会館「小野分校」でプログラムが始まりました。まずはオリエンテーションでスケジュールや注意事項の説明、スタッフの自己紹介などを行い、その後二手に分かれて公園の西と東にトラップを設置しました。

  • オリエンテーション(写真・青葉環境保全)

  • トラップの設置に出発!

トラップ設置

今回使用したのはネズミを捕獲するシャーマントラップ、動物の姿を捉えるセンサーカメラ、昆虫を捕獲するベイトトラップとライトトラップです。このうち、シャーマントラップとベイトトラップの設置は実際に子どもたちにも体験してもらいました。シャーマントラップはいかにネズミが通る場所に設置できるかがコツとなります。子どもたちは森の中を駆け回って思い思いにネズミが通りそうな場所を探していました。ベイトトラップは専用の道具で地面に穴を掘り、そこに餌を入れたプラカップをはめて虫を落とす仕掛けです。子どもたちは普段することのない作業に少し戸惑いながらも、熱心にトラップの設置を行っていました。

  • 社員によるトラップの説明

  • シャーマントラップ

  • ネズミの気持ちになるのが設置のコツ

  • センサーカメラ

  • ベイトトラップ
    専用の道具で穴を空けます

  • ベイトトラップ
    プラカップに餌を入れます

  • ライトトラップ

トラップ設置の道中でも、子どもたちは道端でみられる生き物に興味津々。なかには急な斜面を登ってカマキリを捕まえる子もいました。また、哺乳類の糞や足跡といったフィールドサインを見つけると、大人も子どもも関係なく釘付けになっていました。生き物観察の本番は翌日でしたが、参加者の皆さんは生き物探しを楽しんだようです。

  • バッタ探しに夢中の子どもたち

  • 斜面を登ってカマキリを捕まえる

  • 動物のフィールドサインに興味津々

昆虫ライトトラップ

夜は場所をエコキャンプみちのくに移し、ライトカーテンと今峰製ライトという2種類のライトトラップを使用して昆虫観察を行いました。9月は気温が下がり昆虫や動物の活動が少なくなる季節ですが、トラップにはたくさんの昆虫が集まりました。最後にはゲンゴロウなどの珍しい昆虫も見られ、様々な種類の昆虫を観察することができました。ライトトラップ終了後には室内に入り、採集した昆虫をじっくり観察しました。明るい場所では昆虫の色や形がはっきり見えるため、子どもたちには新たな発見もあったようです。

  • ライトカーテン(写真・青葉環境保全)

  • 今峰製ライト

  • ヤママユガ

  • 様々な昆虫が集まりました

  • 何がいたかな?

  • つかまえた!
    (写真・青葉環境保全)

  • 室内での昆虫観察
    (写真・青葉環境保全)

  • ゲンゴロウ(写真・青葉環境保全)

観察会のあとはコテージで宿泊。9月に入ったとはいえまだまだ暑さの残る夜を静かに過ごし、翌日に備えます。
(次の日の早朝、6時頃にはもう起きだして虫探しをしているご家族もいました)

2日目:園内の生き物観察とトラップ回収

2日目はいよいよ園内を散策し、仕掛けたトラップの回収を行います。参加者のみなさんには生き物の絵や写真が描かれた「探してみよう!みつけよう!シート」が配布され、見つけた生き物にマークやシールをつけてもらいました。初日と同様に2班に分かれて小野分校を出発し、皆さん意気揚々と森の中を進んでいきます。

  • 探してみよう!みつけよう!シート

  • 森の中を散策

  • 捕虫網片手に親子で虫を追いかけます

園内散策の様子

散策に同行した社員の感想を以下にご紹介します。

大野(担当:昆虫)

イベント前から虫採りをするくらい意欲溢れる子どもたちが多く、イベント中もバッタやトンボを熱心に追いかけていた姿を覚えています。昆虫はトラップ設置から始まり、夜のライトカーテン、散策と盛りだくさんの内容でした。湖畔公園周辺は森林や水辺などの様々な環境が揃っており、ノコギリクワガタやモンスズメバチなどの森にいる昆虫に加え、ゲンゴロウやオニヤンマなどの水辺にいる昆虫も見ることができました。このイベントを通して、少しでも昆虫について興味をもって「あのとき見た虫だ!」なんて思ってもらえたら嬉しいです。

齊藤(担当:両生類・爬虫類・哺乳類)

1日目の活動時から昆虫の人気が高く、両ハ哺も同じように興味を抱いてもらえるか、少し不安がありました。散策が始まると、捕まえたニホンカナヘビを虫かごに入れる様子や、トラップで捕獲したアカネズミを夢中で観察する様子が見られて安心しました。ニホンリスやアカネズミの食痕を既に知っている方や、「これは何ですか?」ではなく「これ○○ですか?」と種名を挙げて質問される方がいらっしゃり、参加された皆さんの生き物に関する知識の豊富さに驚きました。皆さんのように生き物に詳しい方へも+αで何か伝えられるように、更に知識を蓄えて、引き出しを増やしていこうと思いました。また、今回は1~2種類の糞や足跡を見つけただけでしたが、種ごとに糞や足跡の特徴も違って面白いので、これを機に他の哺乳類のフィールドサインへも興味を抱いていただけたら嬉しいです。晴天の中、湖畔公園を大きく一周するコースで、皆さん大変だったかと思います。その中でも、様々な生き物を見つけたり、気になるものはスタッフに尋ねたり、積極的に取り組んでいただきありがとうございました。

木元(担当:鳥類)

現地の観察会では子どもたちが元気一杯に虫を探したり捕まえたりする姿がとても印象的でした。オニヤンマやカマキリが人気でしたね、かっこよくて私も好きです。子どもたち以上に親御さんが興味をもって参加されていたのもとても良かったです。森の中での鳥類はなかなか姿を見るのが難しく鳴き声を聞くだけという場合がほとんどでしたが、開けた場所ではカラスやハト類などを観察できました。街中などにもいるなじみ深い鳥は子どもたちも良く知っていました。落ちている羽なども見つけることができ色や大きさからどんな鳥なのか考えたりもしていました。鳥類に限らず、子どもたちが今回をきっかけに色々な生き物に興味をもって頂けたら嬉しいです。

平(担当:植物)

子ども連れのご家族にご参加いただき、当初は子ども達に植物は地味かな…と思っていました。ただその心配は2日目の散策で晴れ、自ら花や実を見つけては「これ何?」と持ってきてくれたり、花を耳にかけて髪飾りにしたり、虫かごに入れる葉を探したり…と思い思いの形で植物に親しんでいる様子でした。また、植物に非常に興味を持っていただいたご父母の方もいらっしゃいました。今後日常で見つけた生き物がご家族の会話のタネになっていたら嬉しいなと思います。

  • ライトトラップの結果

  • 回収したベイトトラップ

  • オニヤンマ

  • ジグモ

  • アカネズミ(写真・青葉環境保全)

  • アカネズミを見つめる子どもたち

  • カモシカの足跡

  • エビネ

  • 一際目を引くクズの花

水生生物の観察

散策を終えた2班は水辺の近くである「びっきの広場」に集合し、水生生物の採取・観察を行いました。慣れないタモ網での採取は少し難しそうでしたが、子どもたちは社員のアドバイスでメキメキと網の扱いをマスターしていきました。また、広場では社員が園内の水辺で採取した水生生物を展示し、ヤゴやコオイムシなどの水生昆虫や、アカハライモリ、ホトケドジョウなどの様々な水生生物を観察しました。なかでもアカハライモリは子どもたちに人気があったようで、しばらく手に取ってかわいがる様子も見られました。

  • 水生生物の採取に挑戦

  • 水生生物観察会

  • アカハライモリ

小野分校でのまとめ

小野分校に戻った後は、最後のまとめの時間です。子どもたちは見つけた生き物の名前や特徴、気づいたことをシートに書き、2日間のふりかえりを行いました。それに合わせて、社員による生き物の解説を行いました。哺乳類の解説では初日に設置したセンサーカメラの映像を確認し、タヌキが餌を食べる様子を見ることができました。社員の「どんな生き物がいたかな?」という問いかけに対し、子どもたちが口々に答えてくれる姿が印象的でした。

  • 見つけた生き物をシートに書きます

  • センサーカメラにはタヌキの姿が

  • 社員による生き物の解説

終わりに

日中は気温30℃を超えるような暑さに見舞われましたが、2日間のプログラムを無事に終えることができました。共催の株式会社青葉環境保全の皆さま、みちのく公園管理センターの皆さま、そして参加者の皆さまに厚く御礼申し上げます。そして参加いただいた子どもたちやそのご家族の皆さまには、今回のプログラムが身のまわりの生き物や自然に興味を持つきっかけになれば幸いです。2日間ありがとうございました!

  • 最後に参加者のみなさんと記念撮影
    (写真・青葉環境保全)

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