宮城県産クレードA
前出の「宮城県およびその周辺地域におけるキタドジョウ生息状況に関して」において調査地点として設定した、溜め池No.5から流下する水路で採集された2個体の雄です。ミトコンドリアDNA解析によりクレードAに属することが確認されました。2個体共に、骨質盤の形状は北海道および青森県産のキタドジョウより在来系統のドジョウのそれに近く、また尾鰭付け根上部の暗色班が不明瞭な点は、北海道および青森県産のキタドジョウや在来系統のドジョウの多くと異なります。これらは、前回の解析調査時に得られた1個体の宮城県産クレードAにも共通する特徴です。写真の個体はどちらも非常に細長い印象を受けますが、晩秋に水路から採集したものであるため、栄養状態が悪く痩せていた可能性があります。
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1.体長12.6cm雄
2.体長11.8cm雄
山形県産クレードA
新庄市の溜め池で採集された雌個体です。ミトコンドリアDNA解析によりクレードAに属することが確認されましたが、クレード内において宮城県産クレードAとは遠縁であるようです。宮城県産クレードAとは異なり尾鰭付け根上部に暗色班が見られますが、この暗色班の有無に関しては、宮城県産クレードAも含め個体差を考慮する必要があるかもしれません。雄個体が採集できていないため、骨質盤の形状は不明です。