植物の葉を光に透かしてみると、個々の種に特有の模様が見え、種の識別に利用することができる。以下にその例を3種紹介する。
1.マルバノサワトウガラシ
ゴマノハグサ科のマルバノサワトウガラシDeinostema adenocaulum (Maxim.) T.Yamaz.は、葉脈があまり目立たない(よく見るとごく細い掌状脈が9-11本ある)。全体の姿がよく似たオトギリソウ科のコケオトギリHypericum laxum (Blume) Koidz.は、太い3-5脈が目立ち、透明な腺点が散在している。
2.オオヤマハコベ
ナデシコ科のオオヤマハコベStellaria monosperma Buch.-Ham. ex D.Don var. japonica Maxim.は、側脈は目立つが細脈はあまり見えない。同じナデシコ科のフシグロセンノウSilene miqueliana (Rohrb.) H.Ohashi et H.Nakai やフシグロSilene firma Siebold et Zucc.は、側脈だけでなく細脈も顕著である。
3.コウヤザサ
イネ科植物の葉は細長く、葉脈が縦に多数走る。コウヤザサBrachyelytrum japonicum (Hack.) Hack. ex Honda は、縦の脈の間に、短く透明な横の細脈がいくつも見える。カヤツリグサ科のサギスゲEriophorum gracile K.Kochも横の脈が目立ち、“あみだくじ”のように見える。イネ科やカヤツリグサ科の植物で横の脈が明らかなものは少なく、花や果実が無い場合に種の見当をつける時に役立つ。