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透過光を利用した葉の識別

2009年1月6日
文:仙植連下山祐樹

植物の葉を光に透かしてみると、個々の種に特有の模様が見え、種の識別に利用することができる。以下にその例を3種紹介する。

1.マルバノサワトウガラシ

ゴマノハグサ科のマルバノサワトウガラシDeinostema adenocaulum (Maxim.) T.Yamaz.は、葉脈があまり目立たない(よく見るとごく細い掌状脈が9-11本ある)。全体の姿がよく似たオトギリソウ科のコケオトギリHypericum laxum (Blume) Koidz.は、太い3-5脈が目立ち、透明な腺点が散在している。

  • 図1マルバノサワトウガラシ

    図1マルバノサワトウガラシ

  • 図2コケオトギリ

    図2コケオトギリ

2.オオヤマハコベ

ナデシコ科のオオヤマハコベStellaria monosperma Buch.-Ham. ex D.Don var. japonica Maxim.は、側脈は目立つが細脈はあまり見えない。同じナデシコ科のフシグロセンノウSilene miqueliana (Rohrb.) H.Ohashi et H.Nakai やフシグロSilene firma Siebold et Zucc.は、側脈だけでなく細脈も顕著である。

  • 図3オオヤマハコベ

    図3オオヤマハコベ

  • 図4フシグロセンノウ

    図4フシグロセンノウ

3.コウヤザサ

イネ科植物の葉は細長く、葉脈が縦に多数走る。コウヤザサBrachyelytrum japonicum (Hack.) Hack. ex Honda は、縦の脈の間に、短く透明な横の細脈がいくつも見える。カヤツリグサ科のサギスゲEriophorum gracile K.Kochも横の脈が目立ち、“あみだくじ”のように見える。イネ科やカヤツリグサ科の植物で横の脈が明らかなものは少なく、花や果実が無い場合に種の見当をつける時に役立つ。

  • 図5コウヤザサ

    図5コウヤザサ

  • 図6サギスゲ

    図6サギスゲ

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