作製のきっかけ
Nikon COOLPIX P6000用のデジスコアダプターの作製方法について解説します。P6000が猛禽類の飛翔写真撮影に向いていそうな機種であること、ニコンビジョンやデジスコドットコムではアダプター(ブラケット類)を商品化する動きがないこと、といった状況から、自作を試みてみました。(憶測ですが、4倍ズーム機で広角側にした時にケラレが出やすいことや、クリアランスが短く、望遠側にした時に鏡筒が接眼に接触する不具合がある事などから、商品化しにくいのではないでしょうか…?)
コンセプト
猛禽類の飛翔写真撮影の要件を満たすように作ること。
安定した光軸を出せるようにする。
方策
P6000ボディ(鏡筒周り)に切ってあるオスネジを利用する。
最終的にDS接眼用のアダプターに接続する。
最適なクリアランスとなるように、P6000の鏡筒先端からDS接眼までの距離を確保する。そのために市販品を組み合わせてアダプターチューブを作る。
アダプターに用いる市販品を改造して完成度を高める。
器材(P6000ボディ側から)
UR-E21
ニコン純正マクロレンズ用アダプター(全長:35mm)
ボディ側メスネジ径:46mm/ピッチ:0.75
接眼側メスネジ径:43mm/ピッチ:0.75
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UR-E21
RA5843
レイノックス製43mm→58mmステップアップリング
ネジ部を除く厚さ:約1mm
ボディ側オスネジ径:43mm/ピッチ:0.75
接眼側メスネジ径:58mm/ピッチ:0.75
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TA4+3(左)とRA5843(右)
TA4+3(本当はTA4の方がいい)
デジスコドットコム製DS接眼レンズアダプター
ボディ側オスネジ径:58mm/ピッチ:0.75
基本設計
P6000ボディのオスネジ(46mm/0.75)にUR-E21のメスネジ(46mm/0.75)を噛ませ、UR-E21のもう一方のメスネジ(43mm/0.75)にRA5843のオスネジ(43mm/0.75)を噛ませる。RA5843のメスネジ(58mm/0.75)にTA4+3のオスネジ(58mm/0.75)を噛ませ、TA4+3によりDS接眼に接続。
問題点
P6000鏡筒とDS接眼レンズとの距離が離れすぎ(クリアランスが長すぎ)、中望遠以上のズームにしないとケラレが消えない。
基本設計では、アダプターチューブの長さは約36mm(UR-E21が35mm、RA5843が約1mm)、クリアランスの長さはズームがワイド端の時に約6mm、テレ端で約4mm。
解決策
UR-E21の両端をヤスリにより研磨し、約4mm詰めることでアダプターチューブの長さは約32mmとなり、クリアランスはワイド端の時に約2mm、テレ端で約0mmとなる。使用目的は猛禽類の飛翔写真の撮影。テレ端で鏡筒と接眼が接触しても構わないので、ワイド端が最適なクリアランス(約2mm)となるようヤスリによる研磨を実行する。
UR-E21の改造
↑UR-E21の両端をヤスリで研磨して約4mm詰める。中央が研磨前、両サイドが研磨後。両端以外も削ったが、特に意味はない。
↑UR-E21をP6000に噛ませた時の鏡筒の出具合。左が詰める前の状態。中央と右が詰めた後。
アダプターの完成
アダプターを組み上げたところ
上から「UR-E21」(改)+ 「RA5843」+「TA4+3」P6000に接続したところ
システムの概観
ズーム域とケラレの状態(40/50×ワイドDSに接続した時)
ワイド端では少々ケラレるが、焦点距離35mm付近での使用を考えているので問題なし。テレ端では鏡筒と接眼が接触してしまうが、そんなにズームしないので大丈夫。
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ワイド端(焦点距離:28mm)
4隅が少々ケラレる。 ワイド端から1ステップ目(焦点距離:31mmぐらい?)
ケラレなし。テレ端から1ステップワイド側(焦点距離:105mmぐらい?)
ケラレなし