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春の早朝散歩

2017年5月1日
文:佐竹 一秀
(WEB公開:2024年4月18日)

春が来ました

桜も葉桜になりはじめ、春本番です。スギ花粉もそろそろ終わり、散歩やジョギングにいい季節です。冬のあいだは風邪をひいては元も子もない、と屁理屈をつけてほとんど走ってきませんでしたが、暖かくなってきたのでジョギング再開です。ただ、急に走り出しては膝によくないので、慣らし運転として久々に自宅周辺を散歩することにしました。

早朝は鳥たちの時間

4/21の金曜日、朝の5時半、天気は曇天でしたが風もなく、穏やかなウォーキング日和。場所は南仙台駅の西側、西中田から柳生にかけてです。住宅地から田畑の広がる農耕地、屋敷林のある昔からの家、さらにはお寺や神社、広めの公園などさまざまな環境があります。北側には名取川が流れていますが、やや距離はあります。歩き始めてみて、ジョギング時にはないゆったり感がありました。ジョギングでは進行方向を注視していますが、ウォーキングでは周囲をゆっくりと見て歩けますし、気になる事があれば止まってじっくり観察もできます。住宅地ではスズメが多く、さかんに鳴いていました。ごみ置き場ではハシボソガラスが生ごみを狙っていて、私が近づいても逃げません。しばらくにらめっこしていましたが、根負けしてしまいました。シジュウカラが庭木にとまってさえずっていたり、カワラヒワのさえずりも聞こえました。

  • カワラヒワ

    カワラヒワ

「聞きなし」で名乗ってもらいましょう

シジュウカラのさえずりは一般的には「ツピー ツピー ツピー ツピー」とされていますが、私は「シジュ シジュ シジュ シジュ」と聞くようにしています。まもなく渡来するカッコウは「カッコウ カッコウ カッコウ」と鳴きながら自分で名乗っていますので、シジュウカラや他の鳥にもできるだけ名乗ってもらうようにしています。カワラヒワの声を識別できる人もいると思いますが、「キリリッ」「コロコロ」などと金属的な声で鳴きます。また「ビィーンビィーン」「ヴィーヴィー」などと太めで単調な声も出します。一般的にはさえずりはきれいで複雑な声のことが多いので、「キリリッ」「コロコロ」をさえずりとしたいところですが、実はこの声で一年中鳴いています。いわゆる地鳴き(じなき)です。太く単調な「ビィーンビィーン」「ヴィーヴィー」がさえずりです。聞きわけてみるのも面白いです。

ツバメもつがいに

そんなことを考えながら歩いていると、電線にツバメが2羽並んで止まっていました。2羽の距離は10cm程でした。前号でツバメの事を書きました。その時の参考資料に、つがいになったかどうかの判断基準として、2羽の距離が10cm程度になったら、メスがオスを受け入れつがいになったとしていると書かれていました。これから繁殖、子育てと忙しく飛びまわることになるので、つかの間の安らぎの時間でしょうか。名取川に近づいたところで、ウグイスのさえずりや、キジの「ケーン ケーン」という声が聞かれました。時間があれば、遠まわりして名取川を見て歩くのも楽しいと思いましたが、今日は金曜日、会社に行かねば…。

特定外来種ガビチョウの声は…

少し歩くと、こんもりと茂った屋敷林から複雑で大きな鳴き声が聞こえてきました。南国ムード漂うトロピカルな鳴き声、外来種のガビチョウです。ツグミ大の鳥で茶色の体と目の周りの白が目立ちます。普通は林床にいて餌を探しまわっているのですが、芽出し前の広葉樹の枝にとまってさえずっていました。仙台周辺で確認されるようになったのは10年程前からでしょうか。それまでは関東圏や福島県など暖かい地方で広がっており、少しずつ北上してきたようです。今後、分布の拡大が心配される種ではあるのですが、林床で昆虫類を採餌するため、積雪地域での冬越しは厳しいようです。国立環境研究所の侵入生物データベースでは宮城県が北限となっています。ただ、地球温暖化で根雪になる地域が北に移動するようになると、チョッと心配になります。ガビチョウは原産国の中国から鳴き声を楽しむために輸入されたのですが、逃げだしたり、悪意なき放鳥により定着してしまいました。外来種の中でも特定外来種として規制されてはいるのですが、直接的な被害が見えないため、積極的な駆除は行なわれていません。声を楽しむために輸入されたことからも解るように、複雑できれいな声で鳴きます。遠くで鳴いているぶんには、問題ない、逆に好ましいと感じる人も多いと思います。個人的には日本には似つかわしくない南国的な声ですし、大声でうるさいです。今後増えてくると、近くで聞くことも多くなり、そうなると好ましいと思っていた人もうるさい、早朝から鳴かれると眠れない…ということも増えてくるのではと思います。そうなったときにはすでに遅いかも知れませんが…。鳴き声をうまく表現できませんので、気になった方はぜひネットで調べてください。

  • ガビチョウ

    ガビチョウ

公園のカラスの巣、ツグミの渡り準備

公園のケヤキの高木に小枝を組んだ雑な巣が作られていました。カラスの巣です。中にハシボソガラスが抱卵中でした。これから雛が孵ると親鳥は攻撃的になり、場合によっては公園を利用している人たちを威嚇する事もありますので、気をつけなければなりません。巣の位置が地上12、3m程度はありますし、これから若葉が開いてきますので、人に気づかれずに繁殖が終わることを望みます。親鳥が攻撃的でないことが一番なのですが…。公園の芝生では冬鳥のツグミが盛んに虫を探しだして食べていました。シベリアに渡って繁殖しますので、栄養補給に必死です。時々「クッイクッイ」「クワッ」という声を発しますが、あまり声を出さない鳥です。5月上旬頃まで見られますが、渡去前のこの時期に「ポピリョンポピリョン」「キョロンキョロン」というさえずりの声を出す事が知られています。私は聞いたことがありません…。名前の由来は近縁種のアカハラが夏至を過ぎると鳴かなくなるため、口を噤(つぐ)む鳥で、ツグミとなったといわれています。ただ、ツグミは冬鳥ですので、夏至の頃には日本にはいません。近縁種のアカハラの生態からツグミに結びつけるのはやや強引な気もしますが如何なものでしょうか。

  • ハシボソガラスの巣

    ハシボソガラスの巣

  • ツグミ

    ツグミ

一時間程度の散歩でしたが、色々な鳥を見聞きでき、楽しい時間でした。ジョギング前の体慣らしのつもりでしたが、ツグミのさえずりも聞いてみたいですし、カラスやツバメの子育ても気になります。ガビチョウはあまり聞きたくありませんが。そこで、ジョギングは夜にして、早朝は散歩にしようかとも考えています。体力が持つかは…?

最後に今回の西中田・柳生地区の散歩で確認できた20種の鳥名を記しておきます。

キジ・キジバト・ヒバリ・ツバメ・ハクセキレイ・ヒヨドリ・モズ・ツグミ・ウグイス・シジュウカラ・メジロ・アオジ・カワラヒワ・シメ・スズメ・ムクドリ・ハシボソガラス・ハジブトガラス・ガビチョウ・ドバト

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