ecoris_logo.svg

HOMEテクニカルノート連載:E-TEC > ジャングル通信 > 当記事

11-ニホンミツバチが来た!

2024年6月
文:佐竹 一秀
(WEB公開:2025年3月12日)

養蜂ブーム!?

近年、個人やグループでのミツバチの飼育をよく見聞きするようになりました。日本テレビ系の「ザ!鉄腕!DASH!!」という番組で、新宿のビル屋上の巣箱にニホンミツバチを引っ越しさせた話を記憶している人もいるかと思います。宮城県内でも、2016年頃から富谷市役所屋上で「はちみつプロジェクト」が行われており、ミツバチの飼育や、ヒマワリ等の花を植えての蜜源作り、さらにはハチミツやハチミツを使ったスイーツ販売など、地域一体となった活動に広がっています。このように都市部で地域振興やさらには定年後の趣味でミツバチを飼育する人が増えてきているようです。ミツバチをシンボルとして生態系を保全しようという動きや、ハチミツの健康・美容面の効果を期待しての利用者の増加もあり、最近は「第三次ミツバチブーム」と呼ばれているようです。(一次、二次のブームはいつだったのかはわかりませんが…)。一方で相変わらずハチは怖い、嫌い、刺されたら大変、2回刺されると死んでしまうのではといった話も聞き、嫌われものの虫の座も保っています。

  • 巣箱とミツバチ

里山での試み

私はさほどミツバチに興味はなかったのですが、愛子(仙台市青葉区)にいる妹夫婦が7、8年程前からニホンミツバチの飼育を始めておりました。ただ住宅地に近いところで行っているため、周りの方々に気を使っているのがわかります。それもあって、昨年2023年に里山の手入れを始めた頃から、敷地の一角に巣箱を置いて、自然にいるニホンミツバチの誘引を試みていました。下の写真がその巣箱です。周辺の笹刈りがあまり進んでおらず、環境としてもイマイチです。2023年4月の中頃に分蜂(ぶんぽう)したミツバチの群飛は見たのですが、残念ながら設置した巣箱に入ることはありませんでした。そこで今年2024年から本格的に設置し、ニホンミツバチを誘引することにしました。

  • 設置した巣箱

分蜂(ぶんぽう)とは?

ミツバチの世界では春になると女王バチが新たな女王バチの卵を産みます。そして新女王バチが誕生する頃に、旧女王バチは半数の働きバチを連れて、新たな巣を探しに出ます(新女王と残りの半数の働きバチは古い巣に留まります)。これが分蜂です。この際に一時的ですが樹木等にミツバチの塊ができます。女王バチを中心にして、働きバチが幾重にも重なり、うようよ・うじゃうじゃとうごめいて、あまり気持ちの良いものではありません。これまでに4、5回目撃してますが、あまりのミツバチの多さにハチ抗体検査陽性の身としては少々恐怖を感じます。この分蜂の時期を狙って人工の巣箱に誘引するのが、ニホンミツバチの飼育の始まりです。

秘密兵器:キンリョウヘンの不思議!

巣箱に入る前には偵察部隊のハチが数匹、近くに来て周辺を飛びまわったり、巣箱に出たり入ったりします。その巣箱が気に入れば本部に戻り、女王バチを含む全体を引き連れて巣箱に入ります。つまり重要なのは偵察部隊を呼びよせることです。偵察部隊は適当に飛びまわって、営巣に適している場所を探しまわっていますので、設置した巣箱のそばに来るかどうかはわかりません。設置場所は風が当たりにくい場所、周囲を樹木で囲まれた空間が良いとされていますが、入るかどうかは設置者の運にかかっています。巣箱内に蜜ろうや黒砂糖を焼酎に溶かした液を塗ることで、偵察部隊に気に入ってもらえる確率が上がるようです。そしてここにもう一つ、秘密兵器の登場です。それが写真の花です。キンリョウヘンという名まえの洋蘭です。この花からはミツバチを引きつける成分(集合フェロモン)が出ていて、偵察部隊のミツバチが引きよせられ、近くに巣箱があれば、入りやすくなります。なおセイヨウミツバチには効果がなく、ニホンミツバチのみを誘引するのも不思議ですし、キンリョウヘンの開花期とミツバチの分蜂の時期が重なるのも不思議です。

  • ミツバチを惹きつけるキンリョウヘン

巣箱の内部は?

巣箱の内部が気になる人もいると思いますが、いたって単純です。下の写真が巣箱を裏返したところです。四角い箱に十字に針金を刺し、これを上下に2個つなぎ、一番下に金網を張っています。雨除けの屋根があり、その下には巣を作りやすいよう金網が張られた天井があり、巣が大きくなり自重で落下しないように途中で十字の針金で支える仕組みもありと、致せり尽くせりの構造です。さらにその下には型枠と十字の針金の箱があって、ミツバチの出入り口が設けられています。これらを台の上に乗せて、巣箱の出来上がりです。巣箱の内側には蜜ろうが塗りつけられています。

今年は2か所に設置+2か所追加!

今年は4月21日に、二か所に巣箱を設置しました。一か所目はヒノキの大木の脇、二か所目は梅の木の脇です。それから時々様子を見ていました。5月2日に、梅の木の巣箱にニホンミツバチの出入りを確認しました。その時の巣箱出入口の状況が冒頭の写真です。その後、5月4日にも同じようにひっきりなしに巣箱へ出入りしているのを確認し、その後も同様の状況だったので、5月11日に巣内にスマホを差しこみ撮影してみました。少し見難いのですが、層状の巣が斜めに4層作られていて、そこにミツバチが群がっているのが確認できます。とりあえずはニホンミツバチが巣を作ってくれました。まずは良かったです。ただ、安心はできません。ニホンミツバチは何かのはずみで巣を捨てて出ていくこともよくあります。逃去(とうきょ)と言われる行動です。セイヨウミツバチは環境が悪くてもそこに永住しようとして餓死・破滅してまでも出て行かないのに比べて、ニホンミツバチは居心地が悪くなると簡単に出ていくようです。妹夫婦もこれまで数回、逃去を経験したとの事でした。ミツバチの巣箱への出入りがとても気になる今日この頃です。

  • 梅の木の巣箱

  • ミツバチが営巣!

一つの巣箱にミツバチが入ってくれたので、気を良くしてさらに巣箱を追加設置しています(欲が出てしまいました)。今度はカリンの木のそばに新たに巣箱を設置し、さらに古い巣箱も近くの椿の木の下に設置しました。全部で4つです。その後、キンリョウヘンに誘われて、数匹のミツバチが来ていましたが、いまのところ梅の木の一箱のみで、他の3つは今後に期待です(そろそろ分蜂の時期は終了しますが…)

ここに来てピンチか!?

おや? ミツバチの出入りが少し減った…。5月25日の確認状況では、これまでよりも出入りするミツバチの数が減ったように感じています。逃去か…。

結果は次号以降で報告できると思っています。2000年代に欧米を中心にしたミツバチ減少問題を記憶している人も多いと思いますし、在来のニホンミツバチに対してのセイヨウミツバチの話題等もあります。あまり興味はなかったミツバチですが、巣箱に入ってくれると嬉しいもので、今後も掘り下げたいと思っています。

★季節の一枚(5月10日)

フジは奇麗な薄紫の房状の花を付けるつる植物です。他の樹木に巻きついて成長を抑制させ、時には枯損させます。我が里山でもあちらこちらで巻きついていて厄介な植物の一つです。

  • フジ

  • 【参考資料】
  • 高橋純一「ミツバチの秘密」緑書房 2023年
  • 藤原誠太「誰でも飼える 日本ミツバチ」農山漁村文化協会 2010年
ページの上部へ戻る▲