古井戸は残したが…
昨年秋の廃屋撤去時、そばにあった古井戸を埋めてしまいましょうか?と解体業者から問われました。入植当時は飲み水として使っており、その後30年程前までは、釣瓶(つるべ)で汲み上げ、洗い水として使っていました。きれいな水で、夏場は冷たく感じられたことも記憶にしっかりと残っています。今後の里山管理でも有効に使えると思い、そのままにしてもらいました。ただ、地上部は何もないので、人や動物が落ちないように鉄板を敷いてもらっていました。それが下の写真です。
古井戸
冬のあいだは気にならなかったのですが、春から、わずかな面積ですが畑も作りはじめたので水が欲しくなりました。雨を期待しているのですが、今年はなかなか降ってくれず、畑は乾燥気味です。近くにため池はあるのですが、底に泥が大量に堆積していて水深が20cm程度、表層から汲むだけでも泥が舞いあがってしまいます。手や器具を洗いたいと思っても、汚い池の水では洗いたくありませんし、池まで水を汲みに降りるのも手間です。
現状把握と再生方法の検討
そこで、古井戸の出番?です。改修方法の検討のためにも、まずは現状把握です。
井戸の直径は約70cm、深さは約3.0m、上部から80cmは石が粗く組まれていて、その下は素掘りの土の層が見えました。65年ほど前の井戸なので、こんな感じが一般的でしょうか。水深は1.2m程ありましたが、下層60cmは枯れ木や泥、更には古タイヤなどが入っていて、すぐに水を汲んで使える状況にありませんでした。
一般的な古井戸の再生では、底部の泥などを撤去し、内部の洗浄とバキュームを繰り返すことで底泥等を除去し、湧き出た水を更にくみ上げ、それを何度か繰り返すことで、きれいな水(井戸)にするようです。知り合いの業者に見てもらったところ、石組みや下の土の層も崩れかかっているところがあり、内部洗浄には耐えられないのではとの事でした。そこで今の井戸を少し広めに掘っていき、下層の水が湧いてるところを突き止めたところで、ヒューム管(鉄筋コンクリートの管)を入れて井戸にする方法を提案されました。素掘りの井戸も趣きがあり魅力ではありますが、劣化状況と今後の維持管理等を考えてヒューム管の井戸にしてもらう事にしました。
底にはいろいろと溜まっています
古井戸改修工事開始
5月28日、改修工事開始です。残念ながら仕事の関係で立ち会えなかったので、工事状況を撮影してもらい、後日写真を提供してもらいました。まずは重機を使って古井戸を広めに掘り下げ、石組みの撤去、底泥や枯れ木・タイヤ等の異物を撤去した後、湧水場所の確認です。古井戸の泥等を取り除いた底部に湧水が認められました。あまり湧水量は多くないように見受けられますが、週に1~2回使うくらいですので、水量はあまりなくとも大丈夫とは思っています。
拡張して掘り下げ
湧水場所を確認
湧水場所が確認できたので、底部に20cmの厚さで砕石を敷き、ヒューム管(243cm)を立て、さらに150cmの高さまで砕石をヒューム管の周りに敷き詰めてもらいました。
砕石を引き…
ヒューム管のまわりにも
設置したヒューム管の上にさらに1mのヒューム管を立て、周辺の土を埋め戻して成形し、井戸の完成です。ただこのままでは水が汲み出せません。何回か汲み出さないと造成工事と砕石由来の濁りが残りますので、汲み出し作業が重要です。そのためには水中ポンプが必要です。さらには、ここには電気が通じていませんので、発電機も必要となります。とりあえずは水中ポンプを業者に設置してもらい、発電機はこちらで調達することにしました。また、安全確保のためヒューム管上部に蓋を設置してもらう事にしました。
ヒューム管をもう一本
まわりを埋め戻して完成
果たして井戸水は溜まるか…
井戸は完成したものの、水は溜まるか…水量は確保できるか等々心配がありました。
井戸の改修工事は前述の通り5月28日。その後水中ポンプと10mのサクションホースの設置、さらには上蓋の設置も行ってもらい、井戸の改修は全て完了です。発電機を借用できたので、6月17日に井戸水の初汲み上げを予定しました。汲み上げ前に井戸の水深をチェックしたところ約90cm、改修前の水深1.2mと少し差があり、もう少しは溜められるのではと思っています。それでは、汲み上げ開始…あれ、発電機が動きません…何度かトライしましたが動きません。残念ですがその日は断念しました。給油量が少ないかもとのアドバイスを受け、6月21日にリベンジです。
燃料をいっぱい入れて、発電機のエンジン始動です…。今回はしっかりと動きました。水中ポンプのコンセントを差し込むと、水が勢いよくホースの先から流れ出ました。畑は井戸のある場所より、一段上にあるので、ホースを伸ばしましたが、畑まで届きませんでした。そこで今回は途中にプラスチックのコンテナボックスを置き、そこに一旦貯めることにしました。
ポンプで汲みあげ
水はまだ白濁
水は写真のとおり、井戸造成と砕石からの影響でやや白濁していました。水温は冷たかったです。ただ、10分ほどで井戸が空になりました。水中ポンプの排水能力が高いためですが、1回の水量としては十分です。今後何度か汲み上げることで、きれいな水が得られそうですし、上の畑まで水を上げることもできそうです。気になるのは井戸水の溜まり具合です。どのくらいの時間で溜まるか、今後チェックしていきます。
ため池の話も…
我が家のため池は55年ほど前に荒れ地を切り開いて水田を作った時に掘ったものです。冒頭にも記載しましたが周辺からの土砂の流入、落ち葉などにより、水深も浅くなり、ましてこれまでに池干しや、泥のかき出しを行っていないため、底に泥がたまりにたまってため池の機能は失われかけています。水深が20cm程度しかありませんし、水を汲んでも底泥が舞いあがって泥水となってしまいます。そのように汚れた水ですので手を洗う気もおきません。このため池を今後どうするか、2024年4月の「9-里山の農業用水(ため池)事情」では「このままでは湿地になってしまいますので、重機を使って掘るか…。農業(稲作)を再開するつもりはないので、そのまま湿地化させるのもありかと思っています。」とコメントしていました。
今回、井戸の改修で重機をため池の近くで使ったこともあり、業者にため池浚渫の話を聞いてみました。その結果は次号で…。
★季節の一枚(6月21日)
6月17日、山仕事が終わった夕方、近くの林でヒグラシの初鳴きを聞きました。あれ、早すぎないか? 昨年の初鳴きは7月14日だったので1ヶ月程早い確認でした。6月21日は2か所で抜け殻を発見しました。同定結果は、やはりヒグラシ。晩夏のイメージのヒグラシですが、6月下旬頃から発生するようです。それにしても少し早い。温暖化か!
セミの抜け殻(ヒグラシ)