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16-セイタカアワダチソウとの戦い 2年目!

2024年11月
文:佐竹 一秀
(WEB公開:2025年4月15日)

セイタカアワダチソウの時期(花期)です

河原、放棄地等で写真のような黄色の花が見られる時期になりました。セイタカアワダチソウです。奇麗な花ですが、生態系被害防止外来種(重点対策外来種)、日本の侵略的外来種ワースト100 に指定種されている厄介者です。根や地下茎から化学物質(アレロパシー物質)を放出し、他の植物の生育を阻害する性質を持つため、いずれセイタカアワダチソウのみの群落になってしまう、とも言われていました。が、最近ではその影響は他の植物との力関係を少し変える程度だと考えられています。そんな話もあってか、周囲を見回しても昔ほどの勢力ではなく、少し控えめな感じがしています。

  • セイタカアワダチソウの群落

我が里山にもだいぶ入り込んでいますので、出来る限り駆除したい種ではあります(上の写真は我が家の里山の状況ではありません!)。駆除には根っこから抜き取ることが有効ですが、我が家では生育範囲、本数を考えると、時間的&体力的に無理です。草刈りは時期を選んで年2回行うことで効果が出るようです。6月頃は地下茎から新芽を出して伸びた始める時期で、蓄えた養分を消費させることができます。9月頃だと、花が咲く前なので種子による繁殖、分布拡大を防ぐことができ、地下茎に栄養分を蓄え始める時期でもあるので、来年の再生を衰退させる効果もあるようです。

昨年の戦い

昨年の秋、つぼみが色づき始めた頃、セイタカアワダチソウの多さにビックリしました。里山の手入れを始めた頃から気にはなっていましたが、これほど広範囲に生育しているとは思いませんでした。生育場所としては、我が家のため池の上流側と下流側の放棄水田に多く、他にも西側の道路周辺、疎林内にまとまって生えている場所もありました。種子の数が多く、風により色々な場所に分布を広げてしまいますので、種子をつける前に駆除したいと考え、放棄水田内やその付近の法面の黄色を目印に刈り払いをしました。中には笹薮の奥に生えているものもあり、なかなか刈り応えがありました。その後、周辺を見まわって、黄色の花を見つけるとその都度刈り払いましたが、見逃したものも多かったと思います。その状況は昨年10月の「5-激変2 廃屋撤去&屋敷林伐採」で報告しています。

  • 里山のセイタカアワダチソウ

昨年は種子を飛ばす前にほぼ除草できたので、今年は少し減るのでは…と期待をしていました。が、一方で刈り払いしたのは10月の1回のみです。地下茎に蓄積された養分はあまり消費されておらず、全体的にみると減らないのでは?と逆の考えも頭にありました。

今年の戦い①(水田放棄地)

下の4枚の写真は昨年秋から今年秋(2023年秋~2024年秋)までの、戦いの状況です。一枚目は昨年10月、刈り払いを行う直前の我が家のため池上流側の水田放棄地です。写真中央の黄色みがかっているのがセイタカアワダチソウです。高さは2mを超えており、茎も太く、根茎に養分を十分に蓄えているようでした。他にササやススキ等も生えているので、刈り払いには苦労しました。水田放棄地は里山の中央部、緩い谷地形のなかにあり、本来は湿地的な環境ですが、そこにクルミやクリ、ヤマグワなどの樹木が侵入し、ススキ等も繁茂しており、乾燥化が進んでいました。湿地状態を維持したいので、今春より樹木(低木)の伐採、伐根を始めていました。ただ今年は暑さが酷く、井戸の再生、ため池の浚渫も行ったので、思うように湿地化は進みませんでした。そうこうしているうちにセイタカアワダチソウの1回目の刈り払い時期である6月になりましたが、結局、だいぶ遅れて7月中旬から8月下旬にかけての刈り払い実施となってしまいました。

2枚目の写真は今年の7月、セイタカアワダチソウは1m程度に伸びていました。昨年秋に一度刈り払っているのですが、予想に反して(?)日光の通りも良く、勢いが増した感じがしていました。他にススキやヨモギも元気に育っており、茎も太く、刈り払い時には腕力&握力が必要でした(腱鞘炎がつらい…)。

3枚目は今年の10月、2回目の刈り払い直前です。他の植物も含めてだいぶ伸びていますが、茎が細くなっていて、思った以上に刈りやすかったです。ただ本数は前より多くなったようで、このまま放置すると、冒頭の写真のような黄色の奇麗なお花畑になってしまいます。

4枚目は全面刈り払ってから半月後です。きれいに刈り払われていて、やった感・充実感はありました。この写真だけ見ると、手入れされている里山に思えます。他の場所も手を入れていますが、まだまだ荒れていますので、草刈りは大切な作業です。少しずつ面積を増やしながら継続して行きます。

  • 令和5年10月8日

  • 令和6年7月20日

  • 令和6年10月9日

  • 令和6年10月26日

今年の戦い②(ヨシ原内・疎林内)

ため池下流側のさらに下流に、ヨシ原があります。40m×40m程度の面積ですのでヨシ原とは言い難いのですが、そこの端部にも何か所かセイタカアワダチソウのまとまりがありました。花に気づかなければそのままにしていたのですが、気になってしまい、無謀にも突撃していました。また、境界林のあった場所の西側の疎林内でも同じようにまとまって花が咲いている場所を見つけてしまい、ここも刈り払ってしまいました。

今になって考えてみると、今後のヨシの拡大、樹林の成長に伴って、セイタカアワダチソウは衰退する運命だったかもしれません。私が周辺のヨシや林床植物を刈払ったことで、来年は光条件が良くなり、勢力を増してくるので…手を入れなければ良かったか?

  • ヨシ原のセイタカアワダチソウ

  • 疎林内

来年に向けて

昨年の戦いでは種子による分散はほぼ抑えられました。今年の状況を見るかぎりでは、根茎内の養分の消費までは十分にできていませんでした。秋1回の刈払いでしたので、当然といえば当然ですが。

今年は昨年多く確認された場所、池上下流の水田放棄地及びその近くの生育地、里山に入ってくる道路周辺で2回の刈払いを行っていますし、新たな場所で確認したものも1回ですが刈り払いました。また目についたものは、積極的に駆除していますので、種子分散はほぼないと考えています。根茎内の養分も多くの場所で減らす事が出来たので、来年は大幅に減るのではと期待を込めて考えています。ヨシ原や疎林内は? 果たしてどうか…。

とはいえ、セイタカアワダチソウ全部を悪者にして、徹底的に駆除するのは少々違うようにも思えてきました。好きで日本に来たわけでもなく、たまたま種子が落ちたところの条件が良く、周りの植物に少し影響を与えて大群落になってしまっただけ。奇麗に咲いた花には吸蜜のために多くの昆虫が集まり、重要な餌となっています。秋の花としての認知度も上がり、既に市民権を得ているようにも感じています。

ただ、我が里山にはいて欲しくない植物ですので、来年以降も作業は続けます。下の写真は現在の里山の状況です。まだまだ手入れが必要ですが、作業を始めて1年8ヶ月、だいぶ良くなってきたように思っています。

  • 作業を始めて1年8ヶ月の里山

★季節の一枚(10月26日)

先月号でお約束したタコノアシの写真です。原稿〆切ギリギリまで粘ってみましたが、赤味がまだ足りない…。茎も葉も含めてもっと赤くなるのですが、(秋もなかなか暖かい)今回はご容赦下さい。

  • タコノアシ(タコノアシ科タコノアシ属)

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